2017年5月31日水曜日

「ダンボールの街」に遊ぶ

 「心理学ab」や「発達と学習の心理」などを担当する、野田淳子です。GWも明け、真夏のような陽気ですね。同じく真夏日だった4月の連休前、市民フェスティバルの家族イベント「ダンボールの街」企画に、ゼミ生・教職課程の学生たちと参加しました。“子育て・子育ち”をめぐる支援と家族関係の心理学をテーマとする私たちのゼミに「ぜひとも参加して欲しい」と、NPO法人「冒険遊び場の会」の関係者からお声がかかったからです。

  3年前から始まったこの企画は、封鎖した公道で思い思いにダンボールで家などを建て、街と化した道路で遊ぶ1日限りの夢のような時間で、毎年楽しみにしている子どももいるようです。当日はスタッフとして、学生たちと国立の「ひかりプラザ」に朝8:30には集合! 前日の雨で道路にたまった水をコップで掻き出すことから、準備が始まりました。街ですから、町名や番地をつけて、住民登録をする町役場を作り、集めた大量のダンボールを用意し。と、準備を進めていくうちに、あっという間に10時。いよいよ、本編スタートです。

番地をつける
役場建設中


 
 





 


  続々と親子が集まってきて、ダンボールでなにやら真剣に作り始めます。できあがったのは家だけでなく、ロボットや乗り物など、実に様々です。学生たちも負けじと、子どもたちと一緒になって家を作ったり、リヤカー列車が走れば駅を作ったり。ダンボールカッターを持っているスタッフの学生たちは、助っ人としても引っ張りだこです。

どうしたい?
完成!私たちのお家












 自分たちの作った家でお昼を食べてひと休みした後は、「ステージ」と称した街中のスペースで子どもたちの“恋ダンス”やチャンバラが始まります。自分たちの家でごっこあそびをしたり、隣同士で家を訪ね合ったり、お店を開いたり。学生たちは「疲れたけれど楽しかった」「子どもたちの想像力、あらゆることを遊びに変えるパワーは凄い!」と、感心しきりでした。「支援」では「する側」と「される側」に分かれるのではなく、関わることで相互に新たな気づきがあり、「また関わりたい」と思える関係性を築くことが、何よりも大切なのではないかと考えています。

一戦?
輪投げで「遊び屋」営業中


  子どもたちは、自分たちと「対等に」接してくれる大人を求めています。そうした大人の胸を借りて、やりたいことを自分の力で成し遂げたかのように実感した体験が土台になって、自分の世界を広げていく力が育つのではないでしょうか。そういえば、禅の「無心」を“childlikeness”と訳したのは鈴木大拙でした。「子どものような心」を取り戻すとは、どういうことでしょうか? 次回に、また考えてみたいと思います。

関連記事
冒険遊び場「国分寺市プレイステーション」での体験的学び
【学問のミカタ】大学には「宿題」はない!?

2017年5月25日木曜日

【学問のミカタ】噴火する火山を目の当たりにして

「地球の科学」ほか担当の新正です。

プコンから見たビジャリカ火山
今年度の「学問のミカタ」では、それぞれの研究分野で行っていることの紹介もおこなうということで、「地球科学」に関連して、野外調査での経験を記してみたいと思います。

この2月に南米チリの火山調査に行ってきました。当地の火山を10年以上にわたり研究しているグループの末席でサンプルの若干の化学分析を請け負っている立場で時に現地の調査にも参加させていただいています。

登山ツアーの宣伝
今回自分にとって目玉であったのは、常時活発に活動している火山の一つビジャリカ山(2860 m)に登って噴火の有様を目の当たりにすることができたことです。この山はここ数十年山頂のクレーターに溶岩湖をたたえ、日常は小規模な噴火を繰り返しています(時に大きめの噴火をおこしてクレーターから溶岩があふれ出ることもあります)。

そのような状況でありながら、活動が盛んな時期を除いて専業のガイドの案内のもとに誰でも山頂を訪れることができ(ただしかなり長い登山で山頂近くの氷河も越える必要がありそこそこの健脚が求められます)、麓のプコンの街(チリでも有数の観光地です)にはいくつもの登山ガイド会社が軒を連ねます。そこでは火山ガスや噴火の状況を見て、その日その日の登山の可否を判断しています。

山岳氷河を越えます
チリ・アルゼンチン国境のラニン火山
などが遠望されます

山頂で間欠的に起こる噴火の様子をしばらく眺めていて、少し怖い感じがしたのも事実です。経験のある人が状況を見て判断して登山を行なっているので、一般的に危険な事はないでしょう。実際、一緒に登ったビジャリカ山を長年監視している現地のアマチュア火山学者の方は、何十年も安全におこなわれているよ、と胸を張っていました。

しかし、同様に大変活動的な火山でありながら観光登山が行われているイタリアのエトナ山で、この3月にBBCのスタッフを含む登山客が噴石に巻き込まれるという事態が発生しています(動画含む報道)。

ビジャリカ山でもクレーター内で数分に一度程度起こる小規模な噴火を、クレーターの縁で多くの人々が眺めているわけですが、次の一発が気まぐれに少し大きめになり、人がいるところまで噴石が飛んでくる、という可能性は否定はできません。ただ、頂上で観察される光景は本当に素晴らしく、世界各地からこれを目当てに苦労して登ってくる人がいるのも頷けます。

大勢の人が山頂クレーターを覗き込む


溶岩湖がチラ見えしている
今後は、各地で採取したサンプルを分析して、マグマ生成への水の効果などを調べてゆきます。


今回の調査のビジャリカ山を含む一部行程には撮影クルーが同行していて、そこでの撮影を含めてチリ火山地帯を紹介する番組が先日BSプレミアムで放映されました。再放送もあると思いますので、ご覧いただけると幸いです。


NHK BSプレミアム 「体感!グレートネイチャー」
【学問のミカタ】生まれ月とスポーツ選手(経済学部)
【学問のミカタ】ショッパーマーケティング(経営学部)
【学問のミカタ】スポーツを通して自分を知る(コミュニケーション学部)
【学問のミカタ】刑法ってどう学んでいけばいいの?~2017~ (現代法学部)