2016年5月1日日曜日

異国で地震の報を聞いて

国外研究員としてフランスに滞在中の相澤伸依です(フランス語と倫理学担当)。

ご存知のとおり、熊本で大地震が起きました。私は熊本生まれの熊本育ち。遠い国で故郷の災害を眺めることになりました。今回はその中で考えたことを綴りたいと思います。

414日、日本は21時すぎ、フランスは14時過ぎ。家で作業をしていたところ、日本の友人たちから熊本で大きな地震が起きたというメールが届きました。慌てて実家に連絡したところ、無事との知らせがあり安堵しましたが、時間が経つにつれて被害の様子が明らかになっていき、不安になります。

仏時間夜になるとフランスの新聞(Le Monde紙のインターネット公開版を閲覧)でも写真つきで報道されるようになりました。印象的だったのは、原発のリスクが記事で大きく取り上げられていたこと。ここでは、地震はまず原発事故と結びつけて考えられるのですね。

416日に本震が起こると、フランスでの報道もますます大きくなり、被災地の写真も報じられるようになりました。ここに至って、フランスをはじめヨーロッパの友人たちから心配するメールが届き始めます。「日本で地震があったみたいだけど家族は大丈夫か?」「熊本はノブヨの故郷だよね?」等々。

フランスで暮らして実感するのは、ヨーロッパにとっては、中東やアフリカの方が地理的に近く、政治的・文化的にも重要な位置を占めており、アジアのことまで関心を持つ人は少ないということ。普通のフランス人は、日本のことなんて全然興味ありません。たぶん、私の友人たちも私と友達でなければ、日本の地震なんてあまり気にしなかったと思います。でも、私の故郷だから気にかけてくれたのです。こんなふうに友人達が気遣ってくれるという事実が私を励ましてくれました。

地震から二週間あまりが経った今日、フランスの新聞に地震を報じる記事はもうありません。しかし、友達は気にかけてくれるし、私も熊本の様子を話し続けます。世界に友達を作るというのは、自分の世界への関心を広げることなんだと感じます。同時に、世界に自分の国を伝える、情報発信することなんだとも思います。本当に小さな活動ですが、この積み重ねが違う国の人同士を結びつけるんだろう、国際交流ってこういうことなんだろうと改めて考えたのでした。

さて、東経大にも熊本出身の学生が在籍しています。彼らをはじめとする学生、教職員の有志が、学内に熊本地震被災者への義援金募金箱を学内各所(学生課、学生相談室、図書館、入試課、広報課、校友センター、総務課、教員室)に設置しました。募金箱は学生の手作りです。キャンパスに掲示されたくまモンのポスターとあわせて、チェックしてみてくださいね。