2016年2月29日月曜日

オリンピアン研修会 オリンピアンとして何ができるか

 「スポーツの科学」,「スポーツ(テニス)」ほか担当の遠藤愛(まな)です.2016年2月6日(土)にオリンピアン研修会が開催され,初めて参加してきました.

研修会のグループディスカッションでのチームです.
左から穂苅美奈子さん(アーチェリー:モントリオール・ロサンジェルス)
遠藤(テニス:バルセロナ),渡辺武弘さん(卓球:ソウル・バルセロナ)
池田信太郎さん(バドミントン:北京・ロンドン)
高山樹里さん(ソフトボール:アトランタ・シドニー・アテネ)
杉浦正則さん(野球:バルセロナ・アトランタ・シドニー)
三好悟さん(ボート:ロサンジェルス・ソウル.*東経大の端艇部をよくご存知でした)

会場の味の素ナショナルトレーニングセンター
オリンピアン研修会とは,オリンピック,パラリンピックの代表経験者が集まり,オリンピズムやオリンピックの価値を学び,競技の異なるアスリート間の親交を深めること,JOCが進めるオリンピックムーブメント事業への積極的な参加を促すことを目的とした研修会です.オリンピックムーブメントとは,オリンピックの精神を社会に浸透させるよう努力する取り組みです.研修会には84名のオリンピック,パラリンピックの代表経験者が集まり,JOCアスリート専門部会部会長の室伏広治さんはこれまでで最多の参加者とおっしゃってました.最初に,和田先生(フェリス女学院大学教授)がオリンピックとオリンピズムについて,クーベルタンが近代オリンピックを立ち上げた理念も交え,講義をされました.オリンピックを通して平和を世界に広めようとしたクーベルタンが今日のオリンピックを見たらどう考えるのかといった問題提起もあり,私も今後,ゼミなどで学生とともに考えていきたいテーマとなりました.

 次にロンドン・パラリンピックの射撃代表の田口亜希さんが,パラリンピックの歴史,成り立ちなどについて話してくださいました.第二次世界大戦で脊髄に損傷を負った人々を対象とした競技会として,1948年にイギリスのストーク・マンデビル病院で行われた競技会がパラリンピックの起源です.パラリンピックの父とされるグットマン博士の「失ったものを数えるな.残されたものを最大限に生かせ」というメッセージは,人生のさまざまな場面でいえることだと思いました.パラリンピックでは同一レベルの選手同士でフェアに競い合うために,専門家の診断によって,障がいの種類,部位,程度によってクラス分けが行われます.例えば田口さんの出場する射撃では,まず腹筋が使える/使えないから徐々に分類していくそうです.アスリートとして競技に打ち込むことによって機能の回復が見られるケースもあれば,障がいをごまかして出場する選手もいるために,分類した後も競技場だけでなく練習場においても専門家が目を光らせているそうです.田口さんが以前プレーした大会で,姿勢がいいなと思っていた選手がおり,彼女は優勝したが,優勝後のパーティーで酔っ払った後,立ち上がってプールに飛び込んでしまい,障がいをごまかしていたことが発覚した話を紹介されました.スポーツ界では,ドーピングや八百長などの問題が指摘されていますが,競技者として勝ちたいという欲をいかにコントロールしてフェアに競技に取り組むのか,そこには競技者以前の人としての品格が問われていると思います.さらに,田口さんはまだまだ日本では障がい者への理解が進んでいない部分があり,パラリンピックを一つのきっかけとして障がい者だけではなく,妊娠中の女性,高齢者など,全ての人がアクセスしやすいaccessibilityの高い快適な社会を目指して、、と締めくくっておられました.
 この後は,他競技の方々とオリンピズムのキーワードとなる卓越(excellence),友情(friendship),敬意・尊重(respect)についてグループディスッカッションを経て各グループでのプレゼンテーションを行いました.

84名のオリンピアン,パラリンピアンの集合写真です.
テニスからは杉山愛ちゃんと私が参加しました.

 今回の研修会をきっかけとして,私自身もオリンピアンとして何ができるのかについても考え,実行すべきことがあることに気づきました.2016年4月からは特別企画講義として「オリンピックから現代をみる」という科目を開きます.本学の皆さんにもさまざまな観点からオリンピックを見つめる機会になればと思っています.

*田口さんが紹介してくださったイギリスのテレビ局,チャンネル4のロンドンパラリンピックのプロモーション映像です.その迫力はまさにトップアスリートのものであり,映像で伝えられるメッセージ,「super human」という言葉を納得させるものになっています.
 
関連リンク
 ・【学問のミカタ】学問としてのスポーツって??

2016年2月22日月曜日

【学問のミカタ】 バレンタインデー 様々な愛を分かち合う日

 バレンタインデーの由来を伝える逸話は3世紀のローマに遡る。当時のローマ皇帝は故郷に愛する家族がいると兵士の士気が下がると考え、兵士の結婚を禁じていた。兵士を哀れに思ったキリスト教司祭のヴァレンティヌスは、秘かに彼らに結婚式を授けた。このことを知ったローマ皇帝はヴァレンティヌスにローマ国教である多神教への改宗を迫ったが、ヴァレンティヌスはこれに従わなかったため、投獄され269年2月14日に処刑された。ローマでは、この日は結婚と家庭を司る女神ユノの祝日で、さらに翌日15日から豊穣を祈願するルベルカリア祭が行われていた。ルベルカリア祭は日頃生活を別にする男女の「婚活」の機会でもあり、未婚の男女がくじ引きでパートナーを選び、祭りの間一緒に過ごすという風習があった。その後、それまでの多神教に代わってキリスト教が優勢になると、ローマ教会はルベルカリア祭などの風習をキリスト教の教義に反するとして排除しようとした。他方でローマ教会は庶民の反発を考え、2月14日を殉教者ヴァレンティヌスを祈念する日に定めてルベルカリア祭の存続を認めたとされる。今日のバレンタインデーに信仰心を思い起こす意味合いは無いが、大切な人に恋心や友情、親愛の情や感謝の気持ちなど、様々な愛情を表現する日として世界の諸地域で普及している。

 余談だが、私の今年のバレンタインデーは一足早く1月22日に訪れた。1年次生の必修科目「英語コミュニケーションIb」の最後の授業のその日に、学生たち一人一人から心のこもった手紙をいただいたのである。週2回1年間、ともに学び、語り合い、支え合ってきた仲間からの温かな愛に包まれた最高のバレンタインデーとなった。

                                    田中 景(担当科目:英語コミュニケーション、総合英語セミナー、他)

・参考リンク
【学問のミカタ】ハロウィーンってそもそも何?

2016年2月17日水曜日

TKUサイエンスツアー第3弾「高層気象台」「食と農の科学館」

2015年度 東京経済大学教育改革支援制度採択事業である「TKUサイエンス」では2月5日にサイエンスツアーを行いました。行き先は「高層気象台」と「食と農の科学館」。

朝、出がけに地震(国分寺では震度3)が発生し、若干電車のダイヤが乱れましたが、無事、東京駅八重洲のバス駐車場に全員集まり、一路つくばに向かいます。

午前は気象庁の「高層気象台」。つくばの巨大な敷地に気象研究所とともにあります。なんと1920年開設ということで大正時代から続く施設です。

昔使われた、測器をつけて上空の観測を行っていた凧。
落雷が凧のワイヤーを伝って落命した方がいたとのこと。
まさに命を賭して観測が行われていた。


まず概要の説明を受け、昔の測器などを見学した後、紫外線、オゾン量、日射量などを観測する部署で解説を受けました。概要を聞いた後、実際に屋上の測器を見学します。観測によっては、太陽の直射光を遮る必要があり、測器に工夫がされています(写真でわかるでしょうか?)。


ラジオゾンデについて学ぶ


引き続きラジオゾンデについての説明を受けました。実際にあげるのは朝と夜なので、今回はあげる様子は動画で見せていただき、風船、パラシュートおよびゾンデの実物を実際に手に触れながら解説を受けました。お話は興味深く様々な質疑も行われました。バルーンに水素ガスを詰めて約30 km上空に上がるまでの間観測が行われるそうです(そのくらいの高度で風船が破裂する)。ゾンデの軽さが印象的でした。


足元の丸いものは降水量計
最後に屋外に出て地上観測の「露場」で、測器を見学しました。降水量計、温度・湿度系、積雪深計その他について様々な工夫についてお話しいただきました。9000平方メートルに及ぶ広い「露場」を誇り、アメダスつくば」のデーターはここで得られているとのことです。





丈の高い(約1.5 m)イネは飼料用品種
近隣のアウトレットのフードコートで昼食の後は、農研機構「食と農の科学館」を訪れます。まず科学館のパネル展示を一通り案内・解説いただきました。農業や畜産に関わる様々な研究結果がパネルにまとめられており、関連した現物が展示されています。具体的な製品も数多く置かれていて、興味を惹かれます。新しい品種のお茶が飲める給茶器で種類の違うお茶を楽しむ学生もいました。





酵素処理した柑橘皮むきに取り組む学生たち
そして場所を変えて酵素による果実の皮剥きの実習を受けました。基礎的内容のレクチャーを受けた後、実際に酵素で分解して柔らかくなった柑橘の皮を剥いてみました。現在多く用いられる酸・アルカリ処理と異なり、温度をかける必要がないので果実のみずみずしさが保たれ、付加価値の高い食品作成への適応が期待されるとのことです。


さらにバスで少し移動して、植物工場を見学しました。苗の育成、トマト、パプリカその他の栽培の様子や設備について説明を受けました。トマトは日本品種、オランダ品種が植えられていましたが、それらの違いなどについても実際の作物の様子を見つつ解説されました。
植物工場でのレクチャーの様子
苗テラス内部へ。気温やCO2量は高く保たれている。

気象台、食と農の科学館いずれでも現場で業務・研究に携わっている人から詳しいお話を聞くことができ、学生も素朴な疑問をぶつけていました。それぞれの見学先で熱心に解説をいただき、いずれも予定時間を若干オーバーして見学を終えました。

バスで一度東京駅に戻り解散。これで今年度の「TKUサイエンス」の行事をすべて終えました。

お疲れ様でした
懇切なご対応をいただいた、高層気象台、農研機構の皆様に厚く御礼申し上げます。「地球の科学」ほか担当の新正が記しました。



TKUサイエンスツアー第2弾「筑波宇宙センターに行ってみよう」(2016年1月15日)
TKUサイエンスツアー第1弾「情報通信研究機構NICTに行ってみよう!!」(2015年7月2日)
TKUサイエンスカフェ・ミニ「あなたの知らない国立科学博物館」(2015年12月11日)
図書部&TKUサイエンス「ビスマスカフェ」(2015年11月26日)
TKUサイエンスカフェ「豚インフルエンザについて」(2015年11月10日)
TKUサイエンスカフェ「コンテンツの生まれかたと受けとりかた」(2015年6月4日)



2016年2月11日木曜日

2015年度「総合教育研究」発表会レポート

2月3日に「総合教育研究」の発表会が行われました。「総合教育研究」は卒業論文に相当するもので、多くの学生は「総合教育演習」で学んだ成果を発展させて、論文や制作にまとめあげます。

昨年度より全学共通教育センターの公式行事として発表会を催しています。発表会の日に都合の合わない学生もいて今年は2名と少数でしたが、質疑応答を含めて30分間しっかりとした発表を行いました。

発表者はそれぞれ久川先生、早尾先生ご担当の学生で、発表時間が十分にあったので、かなり多様な質疑が行われました。発表終了後にはそれぞれの学生にインタビューを行い、卒論執筆の経緯などについて話していただきました。

横畑センター長から表彰中
発表終了後のインタビュー


最後に発表への努力をねぎらい、横畑センター長から表彰が行われ、会をお開きとしました。

2012年度より毎年12月に行っている「総合教育演習」のゼミ報告会と合わせて今後も学生の発表の機会を広げてゆきたいと考えています。

発表された学生さんは本当にお疲れ様でした。またご聴講いただいた学生、先生方に厚く御礼申し上げます。「地球の科学」ほか担当の新正が記しました。


2016年2月5日金曜日

大岡玲先生のラジオ出演情報

大岡玲先生(「日本文学Ⅱ」ほか担当、本学図書館長)のラジオの出演情報をおしらせします。

2月にNHKラジオ第一「ラジオ深夜便」に3週にわたり出演され、「名作の読み方」コーナーにおいて『半七捕物帳』をはじめとする岡本綺堂の作品についてのお話をされます。放送日時はすべて水曜日の10日・17日・24日で、それぞれ午前零時台です。(すなわち火曜日、9日・16日・23日の深夜になります)


ラジオはネットでも聴けます!(NHKネットラジオ らじる★らじる)。

冬の夜更けの放送を楽しみに待ちましょう!

岡本綺堂(青空文庫)
『半七捕物帳(一)』(光文社)

2016年2月1日月曜日

TKUサイエンスツアー第2弾「筑波宇宙センターに行ってみよう」

 「自然の構造」等と総合教育演習の「天文ゼミ」の担当の榎です。最先端の科学・技術研究の現場を見学する「TKUサイエンスツアー」の2015年度第2弾が、1月15日(金)に開催されました。今回のサイエンスツアーでは、宇宙航空開発研究機構(JAXA)の筑波宇宙センターに行きました。

 今回は、朝に東京駅に集合し、貸切バスで見学に向かいました。当日、中央本線が人身事故で運休した影響で出発が遅れたため、結果的に見学時間が少々短くなってしまいました。筑波宇宙センターに着くと、まず始めに入構内手続きをして、JAXAの職員食堂で昼食を摂りました。ここでは、JAXAで働く様々な人の様子を垣間見ることができます。その後、展示館「プラネットドーム」で、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」実物大モデルや、人工衛星の試験モデル、燃焼試験で使用された本物のロケットエンジンなどを見学しました。

陸域観測技術衛星「だいち」の試験モデル
HII-Aロケットなどに使用されているLE-7Aエンジン

  13時からは、見学ツアーに参加しまた。見学ツアーでは、JAXAの紹介ビデオを見た後に、バスに乗って構内の研究・実験施設を見学しました。まず始めに向かったのは、宇宙飛行士養成棟です。ISSの内部を模した閉鎖環境適応訓練施設などを見学し、宇宙飛行士になるための訓練はどのようなものか、宇宙飛行士に求められる素養とはどういうものか、宇宙服や宇宙船内の環境、宇宙医学についての解説を受けました。

ISS日本実験棟「きぼう」実物大モデル
閉鎖環境適応訓練施設



 次に、ISS日本実験棟「きぼう」の管制室に向かいました。ここは、セキュリティの都合上、撮影が禁止されており、見学前にカメラやスマホを預けなければなりません。「管制」の仕事とはどのようなものかの解説を受けてから、管制室を見学しました。ISS内では、日本標準時ではなく協定世界時で活動しており、私たちが見学した時間は、ISS内では早朝にあたるためか、活動している様子はあまりありませんでしたが、興味深い施設でした。見学ツアー終了後、再び、展示館などを見学して、バスで東京駅に戻ってきました。 
 
 今回のサイエンスツアーの実施にあたって、多くの方々に協力して頂きました。深く感謝いたします。なおサイエンスツアーの第3弾は、2月5日(金)に実施される予定です。 


【参考リンク】
2015年度TKUサイエンスツアー第1弾(情報通信研究機構)
2014年度TKUサイエンスツアー第1弾(地図と測量の科学館、農業環境技術研究所)
2014年度TKUサイエンスツアー第2弾(原子力科学研究所、大強度陽子加速器施設)