2015年6月18日木曜日

センターコロキウム「没落の三つの感覚―大学の没落を中心に」

「地球の科学」ほか担当の新正です。

6月17日の夕刻に、1年ぶりのセンターコロキウムを開催しました。講演者は淑明女子大学韓国語文学科のクォン・ソンウ教授で今年の2月より客員研究員として、東経大に滞在されています。講演者を含め15名の参加を得ました。

演題は「没落の三つの感覚―大学の没落を中心に」ということで、韓国における社会・大学・文学の3つの没落の中でも、特に大学事情を中心にお話しいただきました。

大学の没落の要因として、
・オンライン講座、通信教育の普及
・大学進学人口の減少、さらに進学率の低下
・大学に対する資本の影響力の増大
・就職第一の文化
をあげられそれぞれについて、具体的な事例に即して詳細に話されました。例えば進学者の減少が目に見えている中で、就職に結びつく教育が求められ、学科として人文学や基礎的な自然科学が減らされつつあること、教員数の削減に関連して、非正規化が進んでいることなどを挙げられました。また、そのような状況下で学問的な後輩を育てるのが難しい、すなわち優秀な学生にも(人文学など「実学」的でない分野では)大学院に行くことを勧められず、頑張って勉強している学生に申し訳ないということでした。

終了後も多数の質問が出て、質疑応答で30分近く盛り上がりました。質疑応答の締めとして、それぞれの大学の使命として、研究型・職業訓練型の類型化が今後進むであろうという指摘に関して議論があり、日本の方が韓国の3倍近い人口があるので、その分(大学の)多様性を選択する余地があるのではないか、という指摘が印象に残りました。


講演者の紹介の労をお取りいただいた徐京植先生、通訳をしてくださった金成垣先生に厚く御礼申し上げます。また会議・お仕事の合間を縫ってご聴講くださった皆様、ありがとうございました。