2015年6月11日木曜日

「教養入門」ゲスト講師講義 池内了さん「科学の『いま』を考える」

「地球の科学」ほか担当の新正です。

6月3日(水曜日)の1・2限の「教養入門」に宇宙物理学者の池内了さんをお招きして、「科学の『いま』を考える」というタイトルで授業を行っていただきました。

まず、「大学とは何か?」というお話から講義を始められました。

大学とはどのように考えるかの考え方の方法を学ぶところであり、そのためには多様な分野の学問・文化を習得するのが第一で、それが教養であり、「科学」もその教養の一つである、ということです。

引き続いて「科学」を学ぶ意義について、現代社会を生きる我々にとって科学・技術は無縁では生きられないこと、それはなぜかを説明されました。

そして科学の二面性について、4つの軸からお話を展開されました。すなわち効用と弊害、文化のためか社会のためか、軍事利用と民生利用、単純系と複雑系。これらの対抗軸について、具体的な話題が展開されました。軍事研究は採算を度外視して研究費が使えるので、戦時中が最も研究の自由があった、と語る人もいた、という話など、印象に残る挿話がいくつもありました。

最後に科学者である立場から市民が科学(や科学者)とどのように付き合うか述べて講義を終えられました。

静かな語り口の中にも、時々はっとする批判的なつぶやきがあったりで、90分があっという間の授業でした。


個人的な感想ではかなり「大人」向けの内容で、入学直後の1年生がどのように受け止めてくれたかな?と思いましたが、授業終了時に書いてもらった感想シートには、多くの学生がそれぞれの思いを連ねていて感心しました(池内さんの記事を入学前に新聞で読んでいたので、講義を受けることができてうれしかった、という感想もありました)。


図書館の展示を見て聴講してくださった方も
いらっしゃいました。
本学図書館には池内さんの著書が40冊以上所蔵されていますので、講義の前後の期間展示していただきました(図書課のみなさま、ありがとうございました)。

講義終了後は、「教養入門」担当教員を含む若干名の教員で池内さんを囲んで昼食をとりつつ、歓談しました。こちらでも興味深いお話を伺うことができました。

「教養入門」は1年次1期配当の科目で、1限・2限にそれぞれ3クラスずつ開講し、3名の専任教員がローテーション方式で担当しています。今回はそれぞれの時限について3つのクラス合同での授業として行いました。