2015年12月24日木曜日

リレー講座「世界の国と言葉を知ろう」を行いました

「地球の科学」ほか担当の新正です。

タイ語講座の様子
12月15日と18日の2回にわたり、学習センターのランチタイム講座の枠で「世界の国と言葉を知ろう」と銘した講座を行いました。2016年度開講の「特別語学」と連動し次年度の担当講師に演者をお願いして、15日は「ポルトガル語」18日は「タイ語」についてお話しいただきました。

15日の「ポルトガル語」は東京外国語大学の水沼修さんがご担当でした。
まず、世界の言語の中で、さらにロマンス諸語のなかでのポルトガル語の位置付けについて述べられ、そして大航海時代にどの様に世界にポルトガル語が広がっていったかについて説明されました。加えて、現在のポルトガル語圏諸国共同体についても紹介いただきました。そして、ポルトガル語の特徴を格変化、語順、発音などにわたって解説され、最後に簡単な挨拶表現とその発音のポルトガル、ブラジルでの違いについて述べて話を閉じられました。

18日の「タイ語」は日本学術振興会特別研究員の平田晶子さんにご担当いただきました。
まずタイ王国の基本情報について解説された後に、タイの20世紀の歴史の中での文化・文字政策の意義について述べられ、さらに現在のタイ語・タイ文化の拡がりからASEANや日本との繋がりを経済面と絡めて説明されました。特に「タイ諸語」の拡がりについては後の質疑応答を含め大変興味深いお話を伺えました。

何れのお話も短い時間ながら、それぞれのご専門を活かし様々な情報がコンパクトに紹介されていてたいへん勉強になりました。また、質疑応答もそれぞれの先生の個性が出て楽しいものでした。

東経大の英語以外語学は、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語、朝鮮・韓国語、日本手話のそれぞれ初級・中級を常設科目として開講しています。それに加え、多様な言語に大学時代に触れてもらう機会を設けるために「特別語学」として毎年複数の言語の講座を開設しています。

2016年度には「ポルトガル語」「タイ語」に加え「ロシア語」「ビルマ語」を「特別語学」として開講します。若いうちに様々な言語の学習に取り組んだ経験は、視野を広げるとともに将来の職業・社会人生活で様々な文化と接する際の糧となります。

多くの学生の皆さんの受講をお待ちしています。ぜひ、興味のある国・言葉に触れてみてください。

2015年12月20日日曜日

2015年度全学共通教育センター ゼミ報告会が行われました。

「地球の科学」ほか担当の新正です。

12月12日(土)の午後に全学共通教育センターが開講する「総合教育演習」のゼミ報告会が行われました。この報告会は2012年12月8日にいわば経営学部のゼミ研究報告会の軒先をお借りするような形で始まりましたが、その後徐々に定着してきて、今年は2教室に分かれて、12ゼミ20ユニット(1ユニット15分)の発表が行われました。なお、今年からは経済学部のゼミ報告会も同日に揃って、観覧者にとっては同じ日に様々なゼミをめぐって見学していただける状況になりました。

さて、14時にA309に集合してまず全学共通教育センター長の横畑先生から激励のご挨拶をいただきました。その後はA309、A310に分かれて、報告会が行われました。

A309での発表の様子

A310での発表の様子
ゼミの履修学生自身は卒業等で年々入れ替わります。しかし発表自体は年を重ねるに従って明らかにこなれたものになってきました。これは学生間の経験の継承の他に、行事としての報告会が定着し、それに向けたゼミ指導が徐々に浸透してきたことが大きいのではないかと推定しています。質疑応答も盛んで(私もいくつか、やや厳しいコメントをしてしまいました)、発表学生も緊張しつつ一生懸命答えていたのが印象的でした。

報告は研究報告から活動報告まで幅広いスペクトルのものでしたが、きちんと準備して、リハーサルをして大勢の前で話す、という一連の活動は登壇した学生にとって貴重な経験となるでしょう。

休憩を挟みつつ夕刻まで報告会は続きました。幾つかのゼミでは終了後そのままゼミの納会に突入したようです。

東経大では一般教養担当する全学共通教育センターの教員もそれぞれの分野を生かした「総合教育演習」を担当し、学生は学部専門の演習と同時に履修することもできます。また、「総合教育演習」の延長線上にある卒業研究である「総合教育研究」も履修でき、昨年度からは「総合教育研究」の発表会も開催されています。2015年度は2016年2月3日の開催を予定しています。


【過去活動の記事へのリンク】
「総合教育演習」ゼミ研究報告会のご案内(2013年度)
麻生ゼミ・相澤ゼミ 卒論発表会(2014年2月、翌年度からの「卒論発表会」の先駆けとなりました)
全学共通教育センター ゼミ報告会のご案内(2014年度)
全学共通教育センター ゼミ報告会レポート(2014年度)
2014年度「総合教育研究」発表会のお知らせ
2014年度「総合教育研究」発表会レポート(2015年2月)
2015年度全学共通教育センター ゼミ報告会のご案内





2015年12月15日火曜日

ビブリオバトル(教職員編)が行われました

「地球の科学」ほか担当の新正です。

板橋先生解説中
12月15日の夕刻図書館ブラウジングスペースで「図書部」主催のビブリオバトル(教職員編)が行われました。

図書部メンバーの板橋先生からのブリーフィングのあと、登壇者がジャンケンで発表順を決めます。その後、5人の登壇者がそれぞれの推薦本を5分でプレゼン、その後3分程度の質疑応答という流れで行われました。

発表順と推薦本は下の通りです。
(1)板橋先生(経営学部)ピエール・バイヤール 『読んでいない本について堂々と語る方法』筑摩書房
(2)高津先生(経済学部)フランセス・イエイツ『薔薇十字の覚醒―隠されたヨーロッパ精神史』工作舎
(3)新正(経営学部)中川毅『時を刻む湖』岩波書店
(4)田島先生(経営学部)グラハム・アリソンほか『リー・クアンユー、世界を語る』サンマーク出版
(5)笹川さん(学生課)プラトン『饗宴』光文社古典新訳文庫

それぞれが緊張しながらも個性の出たプレゼンを行いました。終了後どの本が読みたいと思ったか投票を行い、5番目の笹川さんご推薦、プラトン『饗宴』が見事1位となりました。

田島先生熱演中
投票結果発表後、聴衆として参加した学生の皆さんの感想を伺いました。その中で、経営学部の先生が多いので、経営に関する本が沢山出てくるのかと思ったら、全然違った、というものがありました。

すなわち推薦本は、自分の好きな本、最近読んで面白かった本、古典などなど思い思いに持ち寄ったものが集まりました。その自由さによって、参加者の興味を広げることができたとすれば、登壇者にとっておおきな喜びと言えましょう。

上に(教職員編)とことわったように、年明け1月14日(木曜)には学生編を行います。好きな本について語ってみたい人の応募をお待ちしています。もちろん当日の観覧も大歓迎です。



・参考 大学ニュース 「白熱! 図書部主催の知的書評合戦「ビブリオバトル」(教職員編)

TKUサイエンスカフェ・ミニ「あなたの知らない国立科学博物館」

「地球の科学」ほか担当の新正です。

東京経済大学の教育改革支援制度の採択事業として展開しているTKUサイエンスでは、今年度これまで2度のサイエンス・カフェを行ってきました。

今回(12月11日)は学習センターのランチタイム講座(お昼休みにお弁当を食べながら聞ける多様な講座)の枠を使って「サイエンスカフェ・ミニ」として、情報システム課の角田さんに、教育ボランティアをされている上野の国立科学博物館についてお話いただきました。

2時間程度で回れるデートコース・テイストでということで、リニューアルなった地球館を含めて、見どころをつなぐ形で盛り沢山な題材を紹介されました。科博というとしばしば特別展・企画展が行われ展示内容によっては大賑わいになりますが、常設展で十分に楽しめることがよくわかるお話でした。

スライドも、展示物の写真を使った効果的なもので(お話でも紹介されましたが、展示物は例外を除き写真撮影可とのことです)、笑いを取りつつ和やかにお話が進んだのが印象的でした。

なおカフェ、なのでお茶菓子として「科博サブレ」などが供されました。

TKUサイエンスでは今年度あと2回のサイエンスツアー(バスを利用)を行います。
次回は1月15日(金曜)につくば市のJAXA 筑波宇宙センターを訪れます。1月8日締め切り先着順20名で学習センターで受付中です。
次々回は2月5日(金曜)につくば市の高層気象台と食と農の科学館を訪れる予定です。

【今年度実施済みのサイエンスカフェ】
11月10日実施 TKUサイエンスカフェ「豚インフルエンザについて」
6月4日実施 TKUサイエンスカフェ「コンテンツの生まれかたと受けとりかた」


2015年12月13日日曜日

「ジェンダー論b」ゲスト講義のご案内

澁谷知美先生ご担当の「ジェンダー論b」では下記の月曜(21日)・火曜(22日)の授業でゲスト講師を招いた講義を行います。学内者は予約不要で聴講可能とのことです。興味のある方は是非ご参加下さい。

日時と教室:12月21日(月曜)1限 A405および12月22日(火曜)1限B301
※両日とも同内容です。
ゲスト:牧村朝子さん(タレント、レズビアン・ライフ・サポーター)


2015年12月9日水曜日

【学問のミカタ】フランスのクリスマス

国外研究員としてパリに滞在中の相澤伸依です。12月に入って盛り上がるパリのクリスマス(フランス語で「ノエル」)の風景をご紹介します。

友人宅のクリスマスツリー。
生木です。大きい!
フランス人にとってクリスマスは何より家族のお祝いです。クリスマス前から年明けまで二週間ほどはクリスマス休暇になります。その間、多くの人は実家に戻って、家族でクリスマスを過ごします。日本ではクリスマスは友達や恋人と過ごすもの、お正月は家族で過ごすものになっていますが、フランスでは逆。クリスマスを家族で過ごし、大晦日から新年にかけてを友達と楽しむのです。

街角にもクリスマスツリーと
イルミネーションが。


12月に入ると、お花屋さんの店頭には「サパン・ド・ノエル」(クリスマス・ツリー)が並びます。生の木を使うおうちが多いようです。また、街の広場や大通りには「マルシェ・ド・ノエル」(クリスマス市)が出ます。クリスマスグッズを買ったり、ホットワインを飲んだりできます。



子どものいる友人宅の壁。
24個の袋に、お菓子や
おもちゃが仕込まれています。
子どもたちは12月1日から
毎日一つずつご褒美をゲットして
クリスマスを待つそうです。
クリスマスプレゼントも欠かせませんね。フランス人にとって12月は、贈り物を準備するショッピングの季節です。フランスでは、通常日曜日はお店は営業できません。パン屋やレストランのような例外をのぞいて、デパートもショッピングセンターも日曜日はお休みなのです。しかし、12月だけは別。かき入れ時とばかりに多くのお店が日曜日も開いていて、みんな街に繰り出します。11月に起こったテロの影響で、お店に入る時には手荷物チェックが当たり前になりましたが、それ以外は、街はにぎわいを取り戻しています。

クリスマスと言っても、日仏でずいぶんと風景が違います。私のフランス語の授業では、言語の勉強だけでなく文化の違いもお話するようにしています。相手の文化について知っておけば、よりスムースに意思疎通できるからです。

さて、私のクリスマスは...?フランスはじめヨーロッパの友人はみんな家族のもとに帰ってしまうので、パリに居残りの留学生友達とパーティーをする予定です。みなさんも、Joyeux noël ! (よいクリスマスを!)

2015年度全学共通教育センター ゼミ報告会のご案内

来る12月12日土曜日の14時から、1号館3階A309、A310教室にて「総合教育演習」 ゼミ報告会を開催します。全学共通教育センター所属の教員のゼミ(「総合教育演習」)のうち12ゼミが参加、20ユニットの発表を予定しています(1ユニットは質疑込み15分)。これまで、1教室で行ってきましたが、発表数が増えたため今年は2教室同時並行セッションで行います。発表題目は以下の通りです。



報告会は、本学在校生はもちろんのこと、ご案内を差し上げている保護者、高大連携協定校および推薦入学指定校の関係者を中心に公開していますが、当日オープンキャンパスも開催されますので、それ以外の方もご自由に参観いただけます。申し込み不要、出入り自由です。当日は同じ建物で、経営学部のゼミ研究報告会が、6号館3階の教室で経済学部のゼミ研究報告会が行われており、これらの会場に自由に出入りして聴講することもできます。

ゼミ選び中の在校生の方、大学での学びに興味のある方、多くのご来場をお待ちしています。



2015年12月6日日曜日

図書部&TKUサイエンス「ビスマスカフェ」


「地球の科学」ほか担当の新正です。

11月26日の5限に実験ワークショップを図書館ブラウジングスペース等で行いました。このワークショップはTKUサイエンスと図書部共催で、私の担当する「総合教育演習」のゼミ履修生が分担して運営しました。

釣り上げたビスマス結晶
ビスマスは融点が271.5℃であるので、家庭用のコンロや電熱器で融かすことができます。融解したビスマスから結晶化するときに、様々な形状のものができ、酸化皮膜により着色するので、見た目が不思議で美しい結晶ができます。そこで近年演示実験などでしばしば取り上げられています。

ゼミの中でも様々な条件での結晶化を試みていたので、それを公開実験として行い、さらに参加者に楽しんでもらうために、できた結晶を用いたアクセサリ作製を行うことにしました。

まず図書館ブラウジングスペースで、ビスマスの元素としての性質や、今日行うことについて説明するプレゼンテーションを行いました。

その後教室に移動して融解と結晶化の演示実験を見てもらいました。参加者も実際に結晶作製を行ってみたりもしました。

プレゼン中
融解実験を演示

さらに再びブラウジングスペースに場所を移して、アクセサリ作製に臨みます。参加者が思い思いに作業をして、かなり多様な作品が作られました。多くの材料は100均ショップで買えるものを用いました。
いろんなものができました。製作者の個性反映
和やかに?製作中

最後に、本ワークショップの実施にあたっては、図書課はもとより、多くの方々のご助力(ポスター作製、工芸指導等々)をいただきました。記して厚く御礼申し上げます。

2015年12月1日火曜日

図書館総合展でのポスター発表

 「地球の科学」ほか担当の新正です。東経大「図書部」は現在、全学共通教育センター教員の相澤と新正、経営学部教員の板橋が加わって教職共同で活動しています。2013年度の後期よりはじまり、旧図書館の閉館を見届け、新図書館の利用促進に取り組んできました。
 東経大「図書部」は去る11月10日〜12日にパシフィコ横浜で開催された図書館総合展でのポスターセッションに出展してきました。

 図書館総合展は日本の図書館界最大の展示会で、公共・学校等あらゆる館種の図書館についての最新技術やトレンド、学術情報が紹介されるということです。したがって、ポスターセッションも大学のみならず、様々な学校、公共図書館、個人と多様な出展者がそれぞれの取り組みや研究について報告しています。

 「図書部」も活動が3年目に入り、これまでの振り返りを行うとともに、対外的に取り組みを報告するべきと考え、出展した次第です。

ポスターのみならず「図書部だより」なども
併せて展示・配布しました

 図書館総合展では、このようなポスターのみならず、企業、大学その他の展示ブース、多様なフォーラムが展開されており、またグッズや本の販売も行われています。例年この時期に行われるようで、図書館のみならず、本に興味のある人も楽しめる展示会かと思いました。
※次年度は2016年11月8日(火)~10日(木)にパシフィコ横浜で行われるようです。

 発表したポスターは現在図書館1階のブラウジングスペースで展示しています。ぜひご覧ください。



2015年11月19日木曜日

【学問のミカタ】葵祭での講演会報告

「地球の科学」ほか担当の新正です。

11月の共通テーマは「文化祭」ということで、東経大の文化祭→学園祭である「葵祭」での講演会のレポートを行わせていただきます。葵祭のいわれについては経営学部ブログに本藤先生が書かれているのでごらんください。

全学共通教育センター教員の相澤と新正、経営学部教員の板橋が加わって活動している「図書部」が葵祭期間中に図書館で講演会を行いました。葵祭期間中の2日間はオープンキャンパスも行われており、それに対応して図書館も一般公開を行っています。そこでそれに合わせて開催した次第です。

初日の10月31日(土曜日)にはコミュニケーション学部の桜井哲夫先生にご登壇いただきました。桜井先生には、「戦後漫画の原像」と題して、今年3月に出版されたご著書「廃墟の残像」をもとにお話をいただきました。

現在の日本にも存在する廃墟の話から、戦後漫画史と現代史を絡めて、広く、深いお話が展開されました。満州から引き揚げた漫画家、手塚治虫の空襲体験、画法の斬新さ、酒井七馬との確執等々、どんどん興味深いお話が展開されます。劇画が国分寺の「ことぶき荘」から始まったことなど、国分寺関連のお話もふくまれ、聴衆の注意を集めました。最後は、福島原発事故に先だって描かれた『コッペリオン』の紹介でお話を閉じられました。

終了後、この内容を授業で扱っておられるか質問がでて、「 戦後史のなかの日本マンガ」で教授されている旨の返答に、一同、学生が羨ましい、の声が上がりました。

2日目の11月1日(日曜日)には経営学部の大岡玲先生(図書館長)に、「虹や月あかりからおはなしをもらつてきた作家・宮澤賢治」という演題でお話をいただきました。ホワイトボードを用いつつ、90分にわたり、精力的に語っていただきました。講演タイトルの「虹や月あかり…」の一節は数少ない生前に刊行された童話集『注文の多い料理店』の序から引かれたもので、賢治の幻視者としての側面に言及されました。そして賢治の人物像に関する様々な見地から、その作品のパターンについて解説されました。作品の概念化、物語化を嫌うこと、全能感の持ち主でありながら時に無力感に苛まれる振れ幅の大きさ、卑怯な大人が大嫌いでありながら本人はかなり悪質ないたずらをしたことを得々と語るなど善・悪を揺れ動くことなど、複雑な人物像をエピソードや作品例に言及しながら描かれました。

両先生とも大変豊かなお話をしていただき、贅沢な2日間でした。ネット時代ですので、講演についての感想がいくつかネット上にあがっています。下にそれらへのリンクを貼らせていただきます。
【桜井先生の講演の感想&レポート】
Facebook上の投稿Twitterへの投稿
【大岡先生の講演の感想&レポート】
個人ブログTwitterへの投稿

なお、ご講演に合わせて、先生方のご著書に添えて、手塚治虫関連本、宮澤賢治関連本の展示を図書館ブラウジングスペースでおこない、聴講者はもとより、一般の図書館見学者にも手にとってご覧いただきました。
大岡先生のご著書と宮澤賢治関連本
桜井先生のご著書と手塚治虫関連本


「図書部」ではこれまでも、様々なトークイベントなどを行ってきました。その幾つかについて下にリンクします。

トークイベント「宮澤賢治と星と石」(2015年7月9日)
ブックトーク「恋する〈私〉を哲学する」(2015年1月9日)

2015年11月16日月曜日

TKUサイエンスカフェ「豚インフルエンザについて」

 皆さん、こんにちは。生物学の大久保奈弥です。この度、11月10日(火)に、学習センターでサイエンス・カフェを行いました。今回の講師は、私の大学院時代の後輩で、国立開発研究法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所の主任研究員をしている竹前喜洋博士です。

 学生時代から超優秀だった彼は、現在、鳥インフルエンザウイルスの豚への適応機序についての研究、豚インフルエンザウイルスの抗原性解析、ベトナムにおける豚インフルエンザウイルスのサーベイランスに従事しています(言葉が難しいですね)。ま、要するに、豚インフルエンザがどういう環境で発生するのか、豚インフルエンザウイルスは豚にどういった影響を起こすのか、といったことを研究しているということです。

 7年ぶりに会ったら大分貫禄が出ていて驚きましたが、それもそのはず、年に4分の1以上はタイやベトナムに出張してバリバリ働いているとのこと。研究の最前線で活躍しているのです。さすがですね。

 カフェでは、豚インフルエンザウイルスにかかった豚さんが、はくしょん、と可愛いくしゃみをしている動画も見せてくれました。他にも、タイで新しく日本と共同で研究室を立ち上げるのに携われたこと、豚インフルエンザウイルスが北米で人間にも感染したこと、どういう農場が豚インフルエンザにかかりやすいか、など、すごく面白いお話をして頂きました。

 昔から豚インフルエンザウイルスが人間にかかることが知られていて、今のところはそれほど怖がることはないようです(あくまでも、今のところね)。ただ、驚いたのは、豚インフルエンザウイルスにかかると豚は、成長率が低下して、出荷が遅れてしまうので、経済被害があるということです。また、生物学の立場から面白かったのは、インフルエンザウイルスが豚と人に感染すると、人に感染したときの方が遺伝子の突然変異するスピードが速いということです。簡単に言えば、豚の場合、農場の中での寿命が人間に比べてずっと短いことが関係しているみたいです。これはすごいデータです。

 ちなみに、ウイルスというのは生物ではありません。生物に感染して生きている非生物です。
色々な生き物にとりついて、しょっちゅう遺伝子の変異を起こしてます。こういった最先端の研究者の話を聞いて、自分でどのように体を守ったらよいか、考える必要がありますね。 大変勉強になりました。ありがとうございます。

サイエンスカフェの様子

2015年11月3日火曜日

三鷹・星と宇宙の日2015


 「自然の構造」の講義と総合教育演習の「天文ゼミ」の担当の榎です。今回は、1024日(土)に、天文ゼミの学生さんたちと見学に行った、国立天文台三鷹キャンパスの特別公開「三鷹・星の宇宙の日2015」の報告をします。

 国立天文台三鷹キャンパスは、「常時公開」されており、一部施設の見学ができます。また、月に2回、望遠鏡で天体を見る「定例観望会」が開かれています。これらとは別に、年に一回、特別公開日である「三鷹・星と宇宙の日」があります。この時には、通常は見学できない施設も公開され、研究部署ごとの研究展示や、講演会、天体観望会などが行われます。

太陽フレア望遠鏡にて
 今回は、通常は公開されていない、「太陽観測所」の太陽フレア望遠鏡などの施設を見学しました。放送衛星から送られてくる電波を手で持った中華鍋でキャッチしてBS番組を見る体験もしました。また、「天文データセンター」が特別公開日に毎年行う「銀河探しゲーム」にも挑戦しました。このゲームは、星空の画像をパネルに並べ、その中から指定された銀河を見つけ出すというゲームです。今年は、ハワイにある「すばる望遠鏡」の新しい観測装置である、「Hyper Suprime-Cam」で取得された、非常に高品質の星空の画像が使われていました。この他にも、いろいろな施設を見学したり、最先端の研究の解説を聞いて回ったりしました。


中華鍋で衛星放送の電波をキャッチ



 
銀河探しゲームに挑戦中











 天文ゼミでは、例年、国立天文台の特別公開日に見学に行っています。最先端の研究の現場に行って、その空気を触れることがその目的の一つです。実際に、現場で物を見て、人の話を聞くことは重要な経験になりますから。

三鷹・星と宇宙の日2013見学報告
石垣島でゼミ合宿(天文ゼミ2015年夏合宿報告)

2015年10月28日水曜日

読書会 J.S.ミル『自由論』レポート

「地球の科学」ほか担当の新正です。図書部で一緒に活動している経営学部の板橋雄大先生に、10月16日の読書会の様子をゲスト執筆していただきました。

                                       

10月16日金曜日に、菊地建至先生をお招きして読書会が行われました。今回のお題本は、J.S.ミルの『自由論』でした。

古典でありながら、現代においても全く色あせることのないまさに名作です。
実は古典の名作って、読書会のテーマ本として考えた時に、新しい解釈の展開の余地があまり残っていない気がして、避けられがちなのですが、そこはやはり百戦錬磨の菊地先生、見事な盛り上がりでした。

ブラウジングスペースが一杯
菊地先生には、昨年も読書会のファシリテーターをお願いしており、その時はニーチェの『喜ばしき知恵』を取り上げられました。その時も大好評で、参加者からは、「まるでニーチェが隣のおじさんであるような親近感を覚えた」という感想も出るほどでした。そのためか、今回も大好評で申込者数は37名にもなりました。

今回は、図書館のブラウジングスペースを使い、菊地先生の周囲を取り囲むようにしての読書会となりました。最初は菊地先生から、ミルの自由論についての簡単な解説や、先生の気になった部分などが紹介され、そのあとで、参加者から本当に思い思いの質問や感想が出されました。中には、自由論の枠組みでとらえきれないような質問もあったようには思うのですが、そうした発言は一つ一つ菊地先生によって、料理され、見事な「自由論」仕立ての一皿となっていました。

議論中
というのも、実は菊地先生は、街中で哲学するための試み「哲学カフェ」を長くおやりになっておられ、様々な参加者との対話を重ねてこられた先生なのです。ですから、今回の参加者からの質問や感想についても、意図を汲んでわかりやすくまとめて下さっていたのが印象的でした。

読書会初参加の方も相当数いたのですが、菊地先生が作り出された流れに乗って、いつの間にか積極的に読書会に参加できていたのは、本当に驚きでした。

参加者の質問のなかで最も面白かったのは、「ミルはなぜ自由論という1冊の本の中で矛盾した発言をしているのか」というものでした。

その点についての議論は、「ミルは確かに矛盾した発言をしているが、それはこの本の執筆された時代背景の中では、やむを得ないものである」という結論になったのですが、古典の名作である『自由論』について、そうした時代背景的な限界が存在しているのは、指摘されるまで想像していなかった参加者がほとんどだったのではないでしょうか。個人的にも、ここは一番の収穫でした。

菊地先生が作り出した「自由論」の世界も、やがては閉幕の時間を迎えます。

とはいえ、その時間があまりにも心地よかったため、読書会の時間が終わっても、ほとんどの参加者が名残惜しく、菊地先生の周りには長く人垣が絶えませんでした。

皆さんも、こんな自由な読書会に参加してみませんか?お問い合わせは図書館カウンターまで。

2015年10月25日日曜日

海外ゼミ研修 ~英語で日本文化を発信~


 英語を担当しているカレイラです。私のゼミ(総合教育演習)の1つの目標が英語で日本文化を発信するということで、今年の9月にハワイのホノルルで、小学校では折り紙を老人ホームでは落語と折り紙を英語で行ってきました。本ゼミには英語が得意な学生から苦手な学生までいろいろな学生がおりますが、各自の持ち味を生かしてどの学生も頑張って英語を駆使して日本文化を伝えてきました。以下は英語で落語を行った矢野君からのレポートです。

今回のカレイラゼミのハワイでの夏季研修で、我々は本願寺ミッションスクールでの折り紙教室を行いました。遊べる折り紙を作っている中で、紙相撲が大人気で、男の子は特に熱中していました。
 
ミッションスクールでの折り紙教室


また、後日ハワイの老人ホームにて英語落語の公演および折り紙教室を行いました。落語の演目は「時そば」改め「時パスタ」。内容は日本のものと大して変わりませんが、現地のマナーに合わせ、改変を加えました。英語落語を演じるにあたって、英語に訳す段階でいかにわかりやすく伝えるかを最優先事項としてネタを書きました。本番ではお客様の前でうまくできるか不安でしたが、何とか演じきることができました。お客様からは面白かった、などのお声をいただき、公演は成功を収めました。

老人ホームで英語で落語

 ・参考 大学ニュース夏季海外ゼミ研修 成果報告会
 

2015年10月20日火曜日

【学問のミカタ】ハロウィーンってそもそも何?

 「外国史I」他を担当している高津です。
 10月31日はハロウィーン。皆で仮装して集まる日として、日本でもすっかりお馴染みになりましたね。パーティなどに参加する予定のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 ハロウィーンの意味は「万聖節の前日」です。万聖節とはキリスト教の祝日。御存じのようにキリスト教はローマ帝国で迫害されていた時代、多数の殉教者を出しました。彼らの一部は聖人として信仰の対象となっており、そしてそのまた一部の者たちは独自の祝日をもっています(例:「石打ちの刑」によって死去したキリスト教史上最初の殉教者、聖ステファノの祝日は12月26日)。しかしそれほど有名でなく、自分の祝日を割り振られていない殉教聖者たちは、この11月1日の万聖節にまとめて祀られることになりました。

 さらに時代をさかのぼり、ヨーロッパにキリスト教が広まる以前、10月31日は1年の終わり、大みそかでした。ケルト人は11月1日を元日に定めていたのです。そしてこの前後、10月30日から11月2日までの期間は、死者が生まれた家に帰ってくると信じられていました。この異教的な(日本でいうところの)「お盆」を、教会はキリスト教の祝祭日としてしまったわけです。

 ルターによって宗教改革が開始されると、プロテスタントは聖人崇敬や迷信的な民間信仰を否定しました。ピルグリム・ファーザースとしてアメリカ大陸に渡り、後の合衆国の基礎を作った人々はプロテスタントでしたので、ハロウィーンを祝っていません。子どもたちが魔女やお化けの仮装をして、ジャック・オ・ランタンを手に家々を訪ねるというお馴染みの形式がアメリカ合衆国で広まったのは今から約200年前のこと。キリスト教の歴史やアメリカ合衆国(北米植民地)の歴史と比べて、それほど長い伝統があるわけではありません。私は仮装パーティにも興味がありますが、それ以上に、日本でブームになっていまだ数年でしかないこの祝祭がこの地で伝統として根付くことができるのか、その過程でどのような変化を辿るのか、興味があります。そしてその歴史をつくっていくのは、皆さんです!

2015年10月12日月曜日

言葉が話せれば...

国外研究員としてフランスに滞在中の相澤伸依です。早いもので、フランスに来て半年が経ちました。生活にも慣れて少し旅行をする余裕もできたこのごろ。この週末は、ドイツのフランクフルトに行ってきました。

フランクフルトには
欧州中央銀行があります。
ヨーロッパには何度も来ていますが、実はドイツに行くのは初めてでした。というのも、ドイツ語が全くわからない、英語も苦手な私は、なんとなく不安で気が向かなかったのです。今回は、電車の安いチケットが手に入ったので、せっかくだから行ってみようと思い切ったのでした。

初ドイツはどうだったか?心配するには及ばず。街歩き、ミュージアム、オペラ、蚤の市、食など、三日間に盛り込めるだけ盛り込んで、足が棒になるほど歩き回って、満喫しました。オペラ座では隣席の親切なマダムとおしゃべりをし、蚤の市では値切り交渉をし、屋台ではソーセージとビールのおススメを注文し...。現地の人との接触があると、旅行が一層楽しくなります。

旧市街のかわいい建物。
古い建物と高層ビルが共存していました。
蚤の市、賑わっていました。
物を大事にする国民性の象徴?












下手な英語でもなんとかなる!と心強く思う一方で、英語がうまく話せたら、ドイツ語が少しでも話せたら、もっと楽しいだろうなとも思いました。私にとってフランスは外国ですが、フランス語が話せるので、生活も人との交流もとてもスームズにできます。言葉ができると、経験できること、楽しめることがぐっと増えるんですね。

こういう自分の経験もふまえて、若い学生の皆さんには、英語はもちろん、いろんな言葉に触れてほしいなあと思っています。海外に出かけた時、あるいは日本で外国の方と出会った時、少しでも言葉を知っておくことが経験を豊かにするからです。

以前も書きましたが、本学では洋の東西を問わず、様々な語学の授業を提供しています(ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語、朝鮮・韓国語、日本手話、ビルマ語、ロシア語)。来年の履修計画にぜひ語学もご検討ください。

*今すぐ語学を勉強したい人!NHKラジオの語学講座は10月から新学期がスタートしました。ネットでも聴けますので、今からでも間に合う!

**本学でイタリア語初級、中級を教えている朝岡直芽先生が、NHKラジオ「まいにちイタリア語」の応用編を担当されています。応用編だから難しいけれど、イタリア語の音と、朝岡先生のトークを聴いてみては?

関連記事
先輩に聞く、語学学習のススメ
手話に触れる 「世界の言語と文化」より
語学検定で力試ししませんか?

2015年9月23日水曜日

【学問のミカタ】西に傾く月を見れば、いざや我も

と、連作ブログを書いてみる、「地球の科学」ほか担当の新正です

「月」について記せとのお題をいただいたものの、あまりアイディアなく、最近耳にした言葉や授業で述べていることなどを数件断片的に連ねてみます。乱文乱筆お許しを。

【中秋の名月】9月の題材に「月」がとりあげられたのは中秋の明月に関連してのことと思います。中秋の名月は、秋分になる日の前の新月の日を起点に数えた15日目の月のことをいうそうです。今年は9月27日が中秋、翌28日が満月です。さらに28日には月の地球に対する2015年における最接近がおこるので、特に月が大きく見えるスーパームーンにもあたります。お天気が良ければ時には月を眺めてみましょう。宵に東の空に昇る月は一段と大きく見えて趣深いのではないでしょうか。
※国立天文台「暦Wiki」の「中秋の名月

【ブルームーン】今年起こった「月」にかんする現象として「ブルームーン」があります。これは、青い月が昇るわけではなく、ひと月の間に2回目の満月となることで、7月31日がそうでした。Blue Moonというとジンベースのカクテルの名前、あるいは、スタンダードナンバーの一つとしても有名で、YouTubeにもいろんな人の歌唱が上がっているので検索してみてください。

【月食】月食は時々起こる現象で、昨年は10月8日に皆既月食があり、はからずも図書館前で臨時観望会がおこなわれました。

今年も4月4日に月食があり、天文学の榎ゼミでは観望会を計画したそうですが曇天で叶わずとのこと。

なお、先に述べた中秋の明月の9月28日には皆既月食が起こるのですが、北米東部、南米、ヨーロッパ・アフリカ東部で見られるもので、日本では見られず残念。次に日本で皆既月食が見られるのは少し先で、2018年の1月31日です。真冬だから晴れる確率が高いでしょうか。

【月の表裏】相手によって態度を変える人のことを裏表のある人、というがごとく、月も地球に対して常に同じ面を向けているので裏表があります。英語では月の表・裏をnear side、far sideと言いますが、なぜだかわかりますか?

【Moonquake】アポロ計画で月の石などが持ち帰られたことは、ご存知の方が多いと思いますが、逆に月面に置いてきたものもあります。そのひとつに月面に地震計を設置するというプロジェクトがありました。アポロ12、14、15、16号で少し離れた位置に設置された地震計によるおよそ8年間にわたる観測の結果、30個近い震源の浅い大きめの地震や7000個ほどの深部で起こる微小地震などが観測され、月の内部構造の理解に重要なデータがもたらされました。月で起こる地震はearthquakeに対してmoonquakeと呼ばれることが多いようですが、しゃれた言い方ですね。

2015年9月11日金曜日

フィールドワークのジレンマ


文化人類学ほか担当の深山直子です。今年は夏が大急ぎでやってきて大急ぎで去ってしまった感がありますね。関東から東北にかけて昨日から大雨が降り注いでおり、被害が最小限に留まるよう祈るばかりですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

大学教員は教えることと研究すること双方から成り立っている職業ですので、夏季休暇は後者に集中するための大切な時間です。私は文化人類学者で、対象地域でのフィールドワークを重要な研究手法と位置付けていますので、夏にはたいてい研究室を離れフィールドに向かいます。

先月、学生以来ずっと研究対象としているニュージーランドに、10日間ほど行ってまいりました。この国自体は、日本でも大分知名度が上がったので、みなさんもオーストラリアの東側にある細長い島国だ、ということはご存知かと思います。しかし、私が関心を寄せているマオリという民族となると、聞いたことがないというひとやオーストラリアのアボリジニと混同するひとが多いようです。

マオリの祖先は、今からおよそ700年前に現在はニュージーランドと呼ばれるようになった島々に、カヌーで海を越えてやってきたポリネシア系のひとびとです。1800年代半ばにイギリスが植民地化を推し進め、マオリはマイノリティの立場に甘んじざるを得なくなりました。しかしながら、粘り強い権利・地位の回復運動の結果、現在ではこの国で先住民として大きな存在感を発揮しているといえるでしょう。

さて、マオリは部族集団に分かれていて、集団はそれぞれ全国各地に領域を持っています。しかしながら、第二次世界大戦以降、仕事を求めて故郷たる領域を離れ、都市に移入するマオリが急増しました。私はこのようなひとびとに強い関心を持っており、従って最大都市オークランドにおいて、マオリ人口比率の高い南部郊外を拠点に、マオリ家族のもとで居候しながらフィールドワークを実施してきました。

人類学では、しばしば長期にわたる継続的なフィールドワークが重要だといわれます。大学教員になった今、それは叶わないわけですが、最近は「戻り続けること」の意義を噛みしめています。時に前の滞在から1年にも及ぶ間が空いてしまったとしても、あるいは戻ってきたところで1週間ほどしか滞在できなかったとしても、再び同じ場所に同じひとびとのところに、戻り続けるということ。それにより私はかれらにとって、「非マオリ以上マオリ未満」、あるいは「家族ときどき他人」という存在になってきている、と実感する機会が今回も多くありました。このことは、私がマオリのところに戻るとスイッチが切り替わり、かれらと同じように考えたりふるまったりできるようになってきている、ということの証でもありますが、同時に「非マオリ」・「他人」としてのまなざしが薄らいでいるということをも意味します。以前だったらば、「異文化だ!」と気付けていたことが、当たり前・普通になり、注意を払わなくなるわけです。

例えば、マオリと日常生活を送るなかでみられる、「いとこ」、「おば」、「おじ」といった概念の広さと使用頻度の高さ。その場にいるみなで一緒におなか一杯食べることに置かれる高い価値。親や祖父母が暮らしていた故郷に対する強い帰属意識。ヨーロッパ系住民や太平洋島嶼系住民、あるいはアジア系住民に対するステレオタイプ。こういった事柄が垣間見せる、現代マオリ社会・文化の在り方について、私はわかったつもりになっていないだろうか。言葉にしてどのような議論ができるだろうか。いかなる学問もそうですが、研究に終わりはありません。対象と長く深く付い合うことによって生じるジレンマを、改めて強く感じた夏季休暇でした。

【参考】
深山ゼミ、公開授業のおしらせ  

2015年9月8日火曜日

石垣島でゼミ合宿

 「自然の構造」の講義と総合教育演習の「天文ゼミ」を担当している榎です。今回は、天文ゼミの夏合宿の報告をします。今年度は、沖縄の石垣島にて、92日~5日と34日で合宿を行いました。

御神崎灯台から見た風景
1日目に、羽田空港を出発し、那覇空港で飛行機を乗り継いで石垣島に入りました。日が沈むころに、島の西の端に近い御神崎(おがんざき)灯台から少し離れた何の明かりもない所で、天体観察を行いました。なお、東経139.5度の東京に比べると、石垣島は東経124.2度とかなり西にあるので、この日の日没は19時ごろで、すっかり暗くなったのは20時過ぎでした(東京の日没は18時)。雲が出ていますが、晴れている部分から星々がたくさん見えます。天の川もはっきりと見えました。じっと眺めていると、人工衛星や流星も見られます。また、周囲の草むらに、ホタルのように光るけど飛ばない、何かの幼虫がぽつぽついます。後で分かったことですが、石垣島には、幼虫でも光るタイプのホタルがいるそうです。

石垣島天文台
 2日目は、フサキビーチで海水浴を楽しんだ後、石垣島天文台を見学しました。ここには、口径が105cmで、九州・沖縄地方で最大の望遠鏡である「むりかぶし望遠鏡」が設置されています。その次に、国立天文台VERA石垣島観測局の見学に向かいました(VERAについてはリンク先を参照してください)。ここには、直径20mの巨大なアンテナの電波望遠鏡が設置されています。日没後もここに留まり、天体観察を行いました。残念ながら雲が多かったですが、さそり座の全体をはっきり見ることができました。 
VERA石垣島観測局

むりかぶし望遠鏡
 3日目は、船で隣の竹富島へ向かい、水牛車に乗ったり、コンドイビーチで海水浴を楽しんだりしました。夜は、1日目に行った所で再び天体観察を行いました。この日は、1日目に雲で見えなかった北斗七星と北極星が見えました。東京は北緯35.6度で、石垣島は北緯24.4度なので、北極星は東京で見るより低い位置で見えます。この日も、天の川がはっきり見え、多くの星々を観察することができました。地面に寝転がって一晩中星を眺めていたい気分でしたが、残念ながら、しだいに雲が多くなって星が見えなくなってしまいました。
天の川
川平湾


 最終日は、川平(かびら)湾や底原ダム等を見学してから、空港に向かい、那覇で飛行機を乗り継いで羽田に戻ってきて解散、となりました。

 今回の合宿で石垣島に行った理由は、石垣島が「天文学者が選ぶ星空がきれいな場所ベスト3」に入っているからです(他の2か所は、長野県南牧村と岡山県井原市美星町)。今回は、一晩中すっきり晴れることはありませんでしたが、短時間でも素晴らしい星空を観察することができました。自然を相手にしていると、人間の考えた通りに物事は進みません(人間相手でも、なかなか進みませんが)。そういったことを実感することも、天文ゼミの学習の一環だと考えています。

2014年度 八ヶ岳山麓でゼミ合宿
2013年度 海外ゼミ研修 in Hawaii 
2013年度 海外ゼミ研修 in Hawaii (続)
2013年度 海外ゼミ研修 in Hawaii (続々)
 

2015年8月25日火曜日

【学問のミカタ】 大学には「宿題」はない!?

 「心理学」関連の授業を担当する、野田淳子です。「夏休み」といえば「宿題」。連想ゲームのようですが、「もう宿題は終わった?」といったやりとりが交わされる、早くも8月も終盤となりました。 

(1)大学には「宿題」はない!?

  大学では「課題」は出されますが、「宿題」はありません。と言い切って良いものかどうかわかりませんが、個人的には「宿題」と「課題」には大きな意味の違いがあると考えています。「宿題」は与えられた問いに対応する、期待された答えを導き出すという意味合いが強いのに対して、「課題」は大まかなテーマや問題設定はあるものの、それに対してどうアプローチし、どのような結論を導き出すかは取り組む側の主体性や創意工夫に任されているのではないかと思うからです。「知を授けられる側」から、「知を生み出し、授ける側」へと転換を図ること。まさに大学教育の重要な目的の1つであり、教育面で試行錯誤しているところでもあります。

(2)大学で取り組む「課題」とは?(一例として)

 私が担当する総合教育演習(いわゆるゼミ)では、「子育て支援と家族関係の心理学」というテーマに興味を持つ学生たちが集まり、追求する価値のある問い(リサーチ・クエスチョン)を見い出し研究するべく、授業時間中の文献講読だけでなく、実際に親子とかかわるなど心と身体をフルに活用する実践を行います。前期のゼミで、例を挙げますと…

・国立市民フェスティバル「ダンボールの森」に参加

国立市民フェスティバル「ダンボールの森」

・「聞かせや・けいたろう」さんとの絵本の読み聞かせの実践

「聞かせや・けいたろう」さんとの絵本の読み聞かせ

・東村山市の「三世代交流」への参加

東村山市の「三世代交流」への参加

国分寺プレイステーションにて

 そして夏休みの課題の一つが、「国分寺プレイステーション(通称:プレステ)」へボランティアに行くことです。ここは国分寺市の社会教育施設で、認定NPO法人・冒険遊び場の会が運営する「冒険遊び場」です(詳細は会のHPをご参照のこと)。ゼミでは例年、前期に一度プレステに学生とお邪魔していて、今年6月の訪問では、学生たちは子どもたちに火の起こし方を教わって野外で焼きそばを作ったり、どろんこになって子どもたちと追いかけっこをして遊びました。プレイリーダーに見守られながら、大人も子どもも“たっぷりと豊な遊び”を経験します。

 授業なのに「子どもたちと遊んでばっかりなの?」と思うかもしれませんね。この「子どもたちと遊ぶ」という活動、実はとても奥深い営みなのです。子どもたちは手加減せず、あくまで楽しい!面白い!と思うことを全身全霊で追求し、「夢中で」=「真剣に」遊んでいます。子どもには、遊びと勉強(仕事)の区別はありません。日常の遊びや生活こそが創造的な学びの実践であり、生きることそのものなのですから。

 そうした子どもたちと遊ぶことで、学生たちは様々な気づきや葛藤を経験し、自分が「当たりまえ」だと思っていた現象を問い直しはじめます。例えば「子どもたちは自由だなぁ。この場では何をしたら良いか、どう振る舞うかを考えてしまう大人と違って、ダンボールとガムテープだけで自分たちの遊び(家、チャンバラ、衣装など)をどんどん創りだしていく」「子どもたちの間では、けんかや言い争いは日常茶飯事。すぐに止めに入ろうとしてしまう自分の対応は、良いのだろうか?」など、学生たちから様々なつぶやきが聞こえてきます。そんなふうに「当たり前」が「不思議」に変わる瞬間を学生たちは記録し、考察し、そこからより深い問いを練り上げていきます。例えば「どうしたら子どもたちと仲良く遊べるのか」という素朴な問いから、「子どもたちは目上の人に対して敬語を使うとは限らず、親密な関係性になれば目上でも敬語は使わなくなるのではないか」という「敬語利用は親密度のバロメーター仮説」を見つけて検証しようとした学生もありました。

(3)「問い」の追求を通して培う、さまざまな力

 このように、学生たちは大学で「課題」に取り組み、あらゆる現象に関して自らが設定した問いを追求する力を培うだけでなく、「自分はなぜこの現象が気になるのか」と問いを発する主体である「自分」と向き合う機会も得ています。この点は案外重要で、そこから自分の適性や進路が見つかるという場合も少なくありません。ゼミでは「支援」や「良好なコミュニケーション」とは何かを考えることも隠れたテーマとなっていますが、「子どもたちや親御さんを支援しよう、と思って関わっていたのに、気づいたら自分が彼らから教わったり、助けてもらっていた」といった自己への気づきから、相互に援助されたと思える関係の構築がより良い支援の一環となることを学ぶ学生もあります。

 「自ら体験を広げつつ、学び舎で習得した知的な道具を活用して、社会という海を泳いでいき、自分なりの教養を作り出せる人たちを生成することが教育者の使命である。そのためには知的な道具を与えるだけでなく、体験を広げる味を覚えさせ、海を泳ぐ技能と意欲を持たせ、平行して泳ぐに値する社会を形成することが必要だ」と説いた、学生時代の恩師の言葉を思い出す今日この頃。学生たちが夏休みに、どんな宝の原石を見つけてくるかが楽しみです。「宿題」などと構えずに、書を携え、外の世界へ飛び出して。面白いことをザクザク、掘り当ててみませんか?