2014年12月27日土曜日

宮沢賢治とふしぎな石展

本学・堺憲一学長の支援のもと活動しているプロジェクト「図書部」と「TKUサイエンス」は、新正研究室の協力の下、「宮沢賢治とふしぎな石展」を10月下旬より図書館1Fロビーとブックウォールにて実施しています。

宮沢賢治は大正から昭和初期にかけて活躍した岩手県出身の詩人・童話作家です。『銀河鉄道の夜』や『注文の多い料理店』をご存じの方も多いかもしれません。そんな宮沢賢治と「石」とは、あまり結びつかない方も多いかもしれませんが、実は彼の文学作品には鉱物や岩石が数多く登場しています。彼は盛岡高等農林学校で地学を学び、日本各地の地質図を作成するなど地質学者としての一面もあります。


「溶岩」「金剛石」「硅板岩」…。賢治の文学作品には石の名前や地学の専門用語が使われているものが多数あります。今回の企画では『銀河鉄道の夜』『楢ノ木大学士の野宿』『春と修羅』などの作品を取り上げ、作品に登場する鉱物や岩石などの実物の標本を、作品とともに紹介します。たとえば『楢ノ木大学士の野宿』は、主人公の宝石学者の楢ノ木大学士が、山に分け入りオパールを探して3日間野宿し、夢に翻弄される話でたくさんの岩石・鉱物が登場します。野宿をするのが好きで、鉱物が大好きな楢ノ木大学士には、賢治自身が投影されていると言われています。ロビーのガラスケースに賢治が惹かれた鉱物や岩石の実物を展示していますので、みなさんもその魅力に遭遇されてみてください。
(図書部t)

「宮沢賢治とふしぎな石」展  2015年2月27日(金)まで 東京経済大学図書館1階にて
  *賢治の詩などの作品を添えた鉱物標本を無償配布中(第2弾準備中です)
  *1月に展示入れ替えを予定しています(ちょっとキレイなものを増やします!)

【参考】

 国立科学博物館 石の世界と宮沢賢治
 

2014年12月23日火曜日

大岡玲先生のテレビ・ラジオ出演情報

大岡玲先生(「日本文学Ⅱ」ほか担当、本学図書館長)のテレビ・ラジオの出演情報をおしらせします。

12月28日(日曜日)5時〜6時(午前です!お間違えなく)にTBSテレビの「検証番組TBSレビュー」に出演されます。TBSの番組だけではない、放送全般の倫理に関する検証番組の「年末特集拡大版」とのことです。

朝寝坊の私は、録画して見たいと思います。

また、1月にNHKラジオ第一「ラジオ深夜便」に3週にわたり出演され、「名作の読み方」コーナーにおいて『南総里見八犬伝』についての話をされます。放送日時はすべて水曜日の14日・21日・28日で、それぞれ午前零時台です。

ラジオはネットでも聞けるものが多くなって、再び身近なものになりつつありますね。(NHKネットラジオ らじる★らじる)。

こちらも放送を楽しみに待ちましょう!



2014年12月21日日曜日

TKUサイエンスカフェ「ブラックホールの謎に迫る!」

 自然の構造と科学論担当の榎です。 1216日(火)に学習センターにて、今年度2回目の「TKUサイエンスカフェ」が開催され、25名近くの学生・教員が参加しました。サイエンスカフェは、ケーキやコーヒーを楽しみながら、最先端の科学を気楽に学ぶことができる場で、本学では2011年度から毎年数回ずつ開催されています。


 今回は、国立天文台の野村真理子さんが「コンピュータシミュレーションで迫るブックホール天体の謎」というタイトルでお話しされました。ブラックホールは、その名の通り、宇宙空間に空いた穴のような天体で、光も物質も、一度ブラックホールに吸い込まれると外へ出ることはできません。しかし、宇宙には、明るく輝き、物質をジェットとして放出しているブラックホール天体が多数見つかっています。ブラックホールは、光も物質も吸い込んでしまうのに、なぜ、輝いたりできるのでしょうか?今回のカフェでは、ブラックホールについて分かりやすく解説された後、このブラックホールが輝く謎にコンピュータシミュレーションを使って迫っている最先端の研究が紹介されました。それだけでなく、野村さんが作成にかかわったスーパーコンピュータ紹介の漫画の話や、ハワイ島のすばる望遠鏡に観測に行った時のエピソードも語られ、楽しいカフェとなりました。

2014年12月19日金曜日

第11回読書会―東浩紀『動物化するポストモダン』


「外国史Ⅰ」ほか担当の高津です。

1216日(火)に、読書会が開催されました。私がファシリテーターを担当し、東浩紀『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』(講談社2001年)について語り合いました。

私は2年前に初めてこの本を読みましたが、私よりも学生の皆さんの方のための本だと思いました。オタク的なポストモダンという日本社会を日々生きている皆さんが、この本に書かれていることをどう思うか、皆さんに自由に議論していただきたい、私はただそれを聞きたい―、このように考えて読書会に臨みました。

とても有意義で楽しい会となりました。10人以上の方々が集まり、オタクの立場から、非オタクの立場から、著者の東浩紀のファンという立場から、皆さん大いに語って下さいました。アニメやゲームの「キャラ萌え」や「二次創作」、「データベース消費」など、本で論じられているテーマだけでなく、SNS、モバゲー、さらにはアイドル(アイドルとアニメキャラはともに「2.5次元の存在」だそうです)といった、本では取り上げられていないテーマにまで話が広がり、途中では先日の衆院選挙の話題も飛び出すなど議論は白熱。私はタジタジでした。最後は時間切れになってしまいましたが、「まだヴォーカロイドについて話していない」という声もあがり・・・すみません。おじさんは勉強が足りなかったです。
参加者、大いに語る!個性的なオタク論が次々に飛び出し・・・タジタジな私(左)
 歴史を勉強している私としては、皆さんが「ふつー」に生きているオタクな日常が、実は戦後から現在までに至る社会的・文化的変化―「理想の時代」から「虚構の時代」を経て「動物の時代」へ―の中で生成されたものであることを認識し、これまでとは違った目で皆さんの大好きなアニメやゲーム、アイドルを見るきっかけとなってくれればとも思っていたのですが、参加者の皆さんはいかがでしたでしょうか。続きは別の機会に。「続編(『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』)でも読書会をしたい」と言って下さった方、どうもありがとう!是非またやりましょう!

お疲れ様でした。是非続きをやりましょう!
第10回読書会にレポート(有川浩『フリーター、家を買う。』)
第9回読書会のレポート(星新一『人民は弱し 官吏は強し』)
第8回読書会のレポート(ニーチェ『喜ばしき知恵』)
第7回読書会のレポート(M.サンデル『これからの正義の話をしよう』)

2014年12月17日水曜日

全学共通教育センター ゼミ報告会レポート

 自然の構造と科学論担当の榎です。12月13日(土)に、全学共通教育センターに所属する教員が担当する「総合教育演習」のゼミ報告会が開催されました。今年度は10ゼミが参加し、発表総数は17件にのぼりました。総合教育演習のゼミのテーマは非常に幅広く、そのため、発表は各ゼミの個性が光るものとなっており、大変面白い報告会となりました。このような報告会で他のゼミの発表を見ることは、自分たちのゼミ発表を振り返ることにつながるので、今後のより良いゼミ活動に活かしてくことができるようになると思います。

 なお、今年度は、優秀な発表だった上位3ゼミの表彰が行われました。審査の結果、大久保ゼミ(生物学)、高津ゼミ(外国史)、久川ゼミ(日本語学)の3ゼミが表彰されました。


2014年12月14日日曜日

留学生との交流クリスマスパーティ


スピーチコンテストの様子
留学生アドバイザーの相澤伸依です。12月13日(土)の夕方、国際交流チューターが企画、運営するクリスマスパーティが開かれました。

この日の午後には、英語スピーチコンテストと留学生による日本語スピーチコンテストが開催されました。クリスマスパーティは、このスピーチコンテストの打ち上げ懇親会として企画されたものです。

生協食堂でコンテストの参加者や応援に来た学生たちが集まり、パーティが始まりました。まずは各コンテストの優秀者の表彰式が行われました。乾杯の後、チューターたちが選りすぐった食事を楽しみつつ、しばし歓談。一段落したところで、ビンゴ大会で盛り上がりました。ノリノリのチューターの仕切りで、みんなハイテンションでゲームを楽しみました。
サンタスタイルでビンゴ中。
多くの方に参加いただき、多めに用意したはずのお料理もきれいになくなりました。閉会後は、参加者が手伝ってくれて片付けもさくっと終了。学生たちがあっという間に仲良くなって、チームワークを発揮してくれました。

今回のクリスマスパーティのように、東経大では、学内で国際交流できるイベントがたくさん準備されています。いろんな国の人と交流したい方は、学内のポスターや一号館二階の国際交流課の案内をチェックしてくださいね。

1月の定期試験明けには、今年度最後となる国際交流チューター企画の日帰り旅行が予定されています。参加者に楽しんでもらえるよう、チューターたちが案を練っている最中です。どうぞお楽しみに!

2014年12月12日金曜日

選書展示「恋愛を考える」


 倫理学とフランス語担当の相澤伸依です。

本日より、図書館一階ブックウォールCにて「恋愛を考える」という特集展示を始めました。今回は、初めて学外ゲストを迎えて、選書を行いました。日本の近代思想を専門とする宮野真生子先生(福岡大学)と日本倫理思想史を専門とする藤村安芸子先生(駿河台大学)、そして私の三人で、哲学、文学、歴史学、心理学、社会学、生物学と様々な分野から恋愛を考察した本を集めました。

図書館スタッフ作成の素敵なPOP
クリスマス、バレンタイン、はてはホワイトデーと、恋愛がもてはやされる季節に、読書を通して「恋愛とは何ぞや」と考えてもらいたい。そういう意図をこめた展示になっています。恋愛をエンジョイ中の方、恋愛に悩み中の方、恋愛と無縁の方、それぞれ楽しめる本を揃えました。ぜひ書棚をご覧ください。




関連して、年明け1月9日(金)の16時20分から18時にかけて、恋愛を考えるブックトークイベント「恋する〈私〉を哲学する」を開催します。選書に加わってくださった宮野先生は、今年、『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』(ナカニシヤ出版)という本を出版されました。そこで、宮野先生をゲストにお迎えして、「恋する私は本当の〈私〉?」というタイトルで講演していただきます。講演を受けて、同じく選書してくださった藤村安芸子先生と私で講演内容を深める質疑応答を行い、最後は参加者も交えてディスカッションを行う1時間半です。

イベントは、図書館一階のブラウジングスペースで開催します。申し込み不要、出入り自由ですので、お気軽にご参加ください。一緒に恋愛に思いを巡らせましょう!

2014年12月8日月曜日

学長とお仕事小説を読む―第10回読書会―

 倫理学とフランス語担当の相澤伸依です。本日、第10回読書会が開催されました。

ガラス張りの
明るいブラウジングスペースで。
3限の終わった14時半過ぎ、図書館ブラウジングスペースに学生7名が集合しました。みんなの手には有川浩『フリーター、家を買う。』が握られています。今回の読書会では、経済小説評論家でもある堺憲一学長がファシリテーターとなって、ドラマ化もされたこの人気小説を読みました。

付箋がたくさん、メモもたくさん。
しっかり読み込まれたお題本。


堺先生は、まず学生に「小説を読んで心に残ったことを二点、メモしてみましょう」とおっしゃいました。少し時間を置いてみんなが書けたところで、今度はプレゼン開始。プレゼンでは、自分が心に残った点を二つ発表し、その共通点を取り出すことが参加者に求められました。一人ずつ、順番に発表していき、堺先生はそれぞれにコメントを付していかれます。この作業を通じて、参加者が小説をどのように読んできたが理解できるだけでなく、自分が考えたことの整理の仕方やグループで話す時のテクニックを知ることができました。

プレゼンの仕方など、使える情報
もりだくさんの堺先生のお話。
みんなたくさんメモしていました。
この小説は、就職した会社を短期間でやめてフリーター生活を送る主人公が、家族やバイト仲間との関わりを通して自分のあり方を見直し、再就職を果たすまでを描いています。参加者からは、「仕事のやりがいをどう見出していくのか?」や「社会に必要とされる人間になるとはどういうことか?」という問いが出されたので、その点についてみんなでディスカッションしました。参加者には、就職活動を終えた四年生や院生もいれば、就活を控えた三年生、まだ時間のある一年生、二年生もいました。各自、自分の経験をふまえつつ、意見を出してくれてお互い刺激になったようです。

お仕事小説読書会を通して、参加者の就活への意識や、仕事への期待が高まったように見受けました。堺先生お薦めの経済小説・お仕事小説は図書館一階の課外図書の棚に配架されています。働くことについて考えるきっかけとして、多くの学生に読んでもらいたいと思います。

〈関連リンク〉
第9回読書会のレポート(星新一『人民は弱し 官吏は強し』)
第8回読書会のレポート(ニーチェ『喜ばしき知恵』)
第7回読書会のレポート(M.サンデル『これからの正義の話をしよう』)
第6回読書会のレポート(小田中直樹『フランス 7つの謎』)
第5回読書会のレポート(辻村みよ子『代理母問題を考える』)
第4回読書会のレポート(大野更紗『困ってるひと』)

2014年12月4日木曜日

全学共通教育センター ゼミ報告会のご案内

来る12月13日土曜日の12時から、5号館地階E002教室にて「総合教育演習」 ゼミ報告会を開催します。全学共通教育センター所属の教員のゼミ(「総合教育演習」)のうち10ゼミが参加、17発表を予定しています。発表題目は以下の通りです。気になるテーマはありますか?

拡大します(Click here! )


報告会は、本学在校生はもちろんのこと、ご案内を差し上げている、保護者、高大連携協定校および推薦入学指定校の関係者を中心に公開していますが、当日オープンキャンパスも開催されますので、それ以外の方もご自由に参観ください。長丁場ですが、申し込み不要、出入り自由です。当日は同じ建物で、経営学部のゼミ発表会も行われており、両方の会場に自由に出入りして聴講することもできます。

ゼミ選び中の在校生の方、大学での学びに興味のある方、多くのご来場をお待ちしています。

参考
総合教育演習 ゼミ報告会 予告編
「総合教育演習」ゼミ研究報告会のご案内(2013年度のもの)


2014年12月3日水曜日

国際子ども図書館見学ツアー



倫理学とフランス語担当の相澤伸依です。図書部の一員として、12月3日に行われた図書部・図書館共催イベント「国立国会図書館 国際子ども図書館見学ツアー」に参加しました。今回は、このツアーの様子をレポートしたいと思います。




国際子ども図書館は、2000年に開館した、国立の児童書専門の図書館です。絵本を始めとする児童書の収集、保存、提供を行い、子どもの読書を支援する役割を担っています。「国際」と付くように、日本国内はもちろんのこと、海外の児童書も広く収集しています。

快晴の昼下がり、上野駅前に学生5名と教職員4名の参加者が集合。10分ほど上野公園内を歩いて、子ども図書館に到着しました。建物を一目見て、参加者みんな歓声を上げました。この図書館は、明治期の洋風建築を改修した、とても素敵な建物なのです(1906年/明治39年に帝国図書館として建築、1929年/昭和4年に増築)。館内も明治の建築をそのまま活かした内装となっていて、とてもおしゃれ。ガイドツアーでは、図書館本来の役割とともに、館内の建物としての見所も解説していただきました。

扉も階段も素敵です。
改修前は外壁だった壁。










閲覧スペースは天井の高い
三階建て、書庫スペースは
収容量を増やすために7階
建て構造になっています。
三階建ての館内は、一階が子どもが児童書を閲覧し、気軽に本と親しむためのスペース、二階は研究・調査のための資料室、三階はテーマを設定し児童書の展示を行うミュージアムとなっていました。

盛りだくさんのツアーの中から、興味深かったことを一つご紹介します。一階の子どもを対象とする閲覧室では、二種類の配架方法が取られていました。文字の多い読み物は作家名順に並べる一方、絵本は絵を描いた人の名前順に並べているとのこと。なぜか? 絵本を読んだとき子どもの印象に残るのは当然絵です。そこで、お気に入りの絵が添えられた本が探しやすいように、絵を描いた人名順を採用しているとのことでした。この他にも展示の仕方や情報提供の仕方など、本を探す子どもや親が手に取りやすいよう、様々な工夫がされており、図書部の活動のヒントをもらうことができました。

引き戸が一般的だった
明治時代。押して開ける
この扉には「おすとあく」と
わざわざ書いてあります。
一時間のツアーを通して、参加者は子ども図書館の魅力を知ることができました。素敵な建物で絵本を眺めているだけで、一日過ごせそうです。上野に出かける機会があったら、ぜひ足を伸ばしてみることをお勧めします。

〈関連記事〉

2014年11月28日金曜日

第9回読書会『人民は弱し 官吏は強し』

「地球の科学」ほか担当の新正です。

11月27日に私がファシリテーターを担当して、読書会を開催させていただきました。お題本はタイトルの通り星新一による『人民は弱し 官吏は強し』(新潮文庫)を選びました。現在図書館1階ブックウォールCで展開中の展示「—偉人から奇人まで— 伝記を読む!」との連動企画となっています。

学生、教員計6名で集まり様々な側面から和やかに議論しました。

本書は、タイトルの通り星一(星新一の父)が創業した星製薬に官憲が様々な口実をつけて妨害を行う話が延々と述べられているものですが、なぜ、そのような妨害が行われたかについても、幾つかの論点が出ました。例えば、主役は官僚ではなく、製薬業界内部での争いであるという指摘。また、星一が親しんだ政治家やドイツの科学界への大きな寄付などから、陸軍 vs. 海軍、関連して、ドイツvs. イギリスの影響ではないかという大局観に基づく説明。いずれも、社会科学に疎い私などにとっては、ただ感心、でした。

最も印象的だったのは、主人公の星一の人となりに対する評価として、ほぼ正反対の意見が提示されたことです。そのような全く違う他人の意見を聞くことが読書会(だけではないですね、ゼミなどでもそうでしょうか)の醍醐味ではないでしょうか。

さらに、複数の参加教員から関連本を提示して、お題本にひも付けた紹介がされました。たとえば、星新一のショートショートに見られる星一の考えの影響について、具体的な短編を例に引いた解説や、星一が面会に行ったことのあるエジソンについて、伝記の作者により評価が真っ向分かれることの紹介など。 本は芋づる式で読もう!


最後に最近恒例となっているようですが、Post-Itにそれぞれの感想を書き込んだものを集めて、お開きとなりました。しばらく後に、図書館入り口付近に掲示されると思いますので、ぜひご覧ください。

初めてこの様な集まりの取りまとめをさせていただいたため、はっきり言ってビビっていました。もし時間が余ったらどうしよう、などと思い、ひまネタを仕込んであったりもしたのですが、そのようなものを取り出して来るまでもなく、予定時刻を超えて議論が盛り上がって本当によかった。

12月にはさらに以下の2回の読書会を開催します。
12月8日 4時限 学長 堺憲一先生ご担当。お題本は有川浩 『フリーター、家を買う』。
12月16日 5時限 高津秀之先生ご担当。お題本は東浩紀 『動物化するポストモダン』。

ふるってご参加を。

前回の報告「ニーチェのアフォリズムに親しむ ―第八回読書会―

2014年11月26日水曜日

第二回留学情報交換会を開催しました

留学生アドバイザーの相澤伸依です。本日夕方、留学情報交換会を開催しました。(前期の留学情報交換会の様子はこちら。)

教室とは違う雰囲気の会場。
参加者もリラックスして、
耳を傾けました。
このイベントは、学生のみなさんに東経大の様々な留学制度をご紹介し、留学を前向きに検討してもらうために始めたものです。学生チューターが運営を担当し、今年度二回目の開催になります。今回は、生協食堂を会場に、留学体験者五人にご自身の経験を語っていただきました。

発表者は、写真などを使いながら、留学生活の様子を生き生きと伝えてくれました。集まった学生たちは海外での学びの意義を感じ取った様子。質問も活発に出ていて、留学の不安を解消する機会となったようです。本編終了後には、お菓子をつまみながら参加者が交流する、アフターパーティを行いました。留学に興味のある学生同士、話が弾んでいました。

アフターパーティの一コマ。
お菓子をつまみつつ歓談。
東経大には、3週間の文化研修から一年の留学まで、充実の留学制度があります。ぜひ活用して、海外で学ぶ機会を作ってください。

12月13日(土)午後に、英語スピーチコンテストと留学生による日本語スピーチコンテストが開催されます。その後、18時からは、チューター企画のクリスマスパーティもあります。学生はどなたでも参加できます。国際交流に興味のある方、ご参加お待ちしています!

〈関連記事〉

2014年11月21日金曜日

TKUサイエンスカフェ「折紙の数学」

数学担当の阿部です.

11月20日(木曜日)にTKUサイエンスカフェが学習センター講座スペースで開催されました.今回のテーマは「折紙」.講師は明治大学の中山江利さんです.中山さんは折紙を数学的に研究している方で,その研究から「折り畳める帽子」を開発し「国際2匹目のどじょう賞」(イグ・ノーベル賞の日本版)を受賞された著名な方です.カフェには学生16名,教員6名,合計22名が参加し,ケーキとお茶を楽しみながら折紙サイエンスを体験しました.


多くの皆さんは折紙というと千羽鶴などのイメージで子どものころ遊んだ記憶くらいしかないかもしれません.でもいざ折紙研究の最先端に目をむけると「ORIGAMI」として国際的に普及していて,さまざまな分野に使われていました.例えば,新幹線のボディー,避難用シェルター,太陽電池パネル,ドレス,バッグなどなど.折紙の技術を応用すると,少ない材料で軽量かつ強度の高い板が作れたり,大きい物を折り畳んで小さくして運べるという利点があることを知りました.まだ実現していませんが,折り畳める家の模型も紹介されました.家を折り畳んでポケットに入れて持ち歩ける日がくるかも!?マンガやアニメでよく見かけますけど,あながち夢物語じゃないようか気がしてきました.


これだけ折紙が生活を豊かにするようになった背景には数学的な理論があることも学びました.例えば,複素数a+bi(aとbは実数,iは虚数単位).高校の頃はなんであんなヘンテコな数を計算しなきゃいけないんだよとイライラしたひともいるかもしれません.でも折紙の数学的な解析には複素数が使われていて,あんなものがこんなところで役に立っている!と驚かされました.


「折り畳める帽子」作成中
最後に中山さんが開発した「折り畳める帽子」をみんなで作りました.帽子って形が崩せないから保管に困りますよね.でもこの帽子ならそんな心配はいりません!小さく平らに折り畳めるから,服でパンパンに詰まったお宅のタンスにもしまえちゃいます.でもお高いんでしょう?いえ!紙とはさみとのりがあればすぐにでも作れます!



次回TKUサイエンスカフェは12月16日(火曜日)4時限に学習センターで開催します.ぜひ参加申し込みを!

2014年11月20日木曜日

「こころ」ふたたび

現在書店に並んでおります雑誌「こころ」Vol. 21(平凡社)に大岡玲先生(「日本文学II」 ほか担当)のシリーズ短編「男の子の風景」の第10作「男の子じゃなくても」が掲載されています。

また、同じ号に徐京植先生(「人権とマイノリティ」ほか担当)による「カラヴァッジョのローマ──イタリアを旅して」と題するエッセイも掲載されています。徐先生は2015年度より「芸術学」もご担当予定です。絵画に興味のある方は、ぜひご覧ください。


もちろん本学図書館にも所蔵されています(1階のマガジンラックにあります)。ぜひご一読を!

反対側では、ひっそりと鉱物を配布しています。

2014年11月19日水曜日

センターコロキウム特別版!「テニス教室」

「スポーツの科学」、「スポーツB(テニス)」担当の遠藤です。

11月15日(土曜日)にセンターコロキウムの特別版として「テニス教室」を行いました。初心者から長年の愛好家までさまざまなレベルの教職員15名が参加しました。

まず、100周年記念館のアリーナに2面のコート張り、その後ストレッチなどの準備運動を行ってから、グランドストローク、ボレー、サービス、ラリーまで2時間みっちり練習しました。2面のコートでそれぞれ初心者コース、上級者コースに分かれ、テニス部の学生さんの助けも借りて密度の高い内容となりました。


職場は同じでも学部や職種が異なると話す機会は限られますが、テニスを介して楽しい時間を過ごすことができました。

以下に参加者の声を幾つか記させていただきます。
経営学部教員の相澤(「倫理学」「フランス語」担当)です。
コートに立つのは小学校の時以来。ラケットの握り方から始めて、自分で地面に落としたボールを打つ練習、さらにはボレー、サービスとジェットコースターで進むレッスンでしたが、とにかく楽しみました。遠藤先生は、私が空振りしても明るく「もう一回!」、当たった時は「今のよかった!」と盛り上げてくださいました。助っ人で来てくれたテニス部のお二人も、頼もしかったです。
今回のレッスンを通してスポーツの楽しさを再認識。そして、本学体育館の充実ぶりを初めて認識。秋冬に体育館で身体を動かそうと思いました。スポーツに親しむきっかけを作ってくださった遠藤先生に感謝です。

経営学部の山口(「経営組織論」「ケース分析」担当)です。
今回のテニス教室では、遠藤先生にストローク、ボレー、サービスの打ち方の基本を教えていただきました。遠藤先生の教え方は、理想的な打ち方の「型」を覚えさせるというようなものではなく、打ち方の基本原理をシンプルに説明した後、その原理に基づいて、各自が練習を通じて自分に合う打ち方を探っていく、というものでした。
 テニスはほぼ初めてという先生方が、後ろで練習を見ていた遠藤先生のアドバイス一言で、パーンときれいな音で打てるようになっているのを見て、問題の診断と解決策の提示の仕方がとても勉強になりました。
 経営学もそうですが、基本原理を理解した上で、それを自分なりに「使える」知識にしていくことが重要だと感じました。楽しくレッスンしていただいてありがとうございました。

学務課の菊地です。
テニスは年に数回しかしないのですが、今回は元プロの遠藤先生に教えていただけるとのことで参加しました。
決まった打ち方があるのではなく、「自分の打ったボールの行方を見て、考える」というアドバイスが印象的でした。
本学の体育館(100周年記念館)はテニスコートが2面とれることを、今回初めて知りました。利用しないともったいないですね。普段お話することの少ない先生方と一緒に練習でき、有意義で楽しい時間となりました。みなさん、ありがとうございました。



参考 「センターコロキウムが開催されました!」(2014年6月のセンターコロキウム)
    「センターコロキウムを開催しました」(2013年6月のセンターコロキウム)

2014年11月15日土曜日

ニーチェのアフォリズムに親しむ ―第八回読書会―

倫理学とフランス語担当の相澤伸依です。11月14日の夕刻に開催した第八回読書会の様子をレポートしたいと思います。

東経大キャンパスに佇む
ニーチェ。
今回のお題本は哲学者ニーチェの『喜ばしき知恵』です。ニーチェの名前を聞いたことはある学生さんは多いかと思いますが、本を手に取って読んだことのある方は少ないのでは? この難しそうな分厚い本に果敢に挑んだ学生9名と教員3名が図書館ブラウジングスペースに集まりました。

今回のゲストファシリテーターは、関西を中心に哲学カフェや読書カフェを主催している菊地建至さんです。みんな、自分が「呼ばれたい名前」で名札を作って定刻にスタンバイ。まず、菊地さんことタケさんが、お題本の「アフォリズムという形式を楽しむ」という会の趣旨を説明しました。アフォリズムとは、思想を、学術論文ではなく短い文章によって表したものを指します。ニーチェの哲学書というと身構えてしまいますが、タケさん曰く「友達のツイッターを読むような気持ちで向き合ったらいいんだよ」と。この言葉のおかげでニーチェがぐっと身近に感じられたところで、本編がスタートしました。

輪になってお互いの顔を見ながら
話し合えるのも楽しい。
オープンスペースで開催したので、
覗いてくださった方もいました。
今回は、参加者が順番に、自分の気に入ったアフォリズムを紹介し、一言コメントを付すという形で進めていきました。「彼らの空想は、そこから怪物を作り出すのに精を出すが、それはあとあとその怪物と闘いたいからこそなのだ」(56)という一節を読んで友達の顔が浮かんできたという人。「人間嫌いとは、あまりに貪欲な人間愛の結果であり、『人間食らい』の結果である」(167)という一節が最近の自分の心境をぴたりと言い表していると感じた人。「われわれ哲学者たる者、『自由精神』の持ち主は、『古い神が死んだ』という報せを聴くなり、新たな曙光に照らされたような感覚を抱いている」(362)という節から神の死について考えを巡らせた人。

参加者一人一人の読みや思考を聴くことで、一冊の本をいろんな仕方で味わえることがよくわかりました。さらにファシリテーターのタケさんは、参加者が紹介したアフォリズムに合わせて、ニーチェの思想や時代背景などを説明してくださいました。こうして、知識を踏まえると、哲学者の言葉をよりよく理解できることも実感できました。

傍らでみんなを見守るニーチェ。
最後にタケさんは「ニーチェの言葉で励まされましたか?」と参加者に問いかけました。タケさん自身はニーチェの言葉に励まされるそうなのです。参加者の答えは様々でした。その中で面白かったやりとりを紹介します。

ある学生は「ニーチェの言ってることってけっこう当たり前のことだから、あんまり励まされはしない」とのこと。この言葉を聞いてタケさんは、「ニーチェよかったね、と言ってあげたい」と言うのです。どういうことかというと、『喜ばしき知恵』は、書かれた当時、社会を批判するラディカルな内容ゆえに大きな反発を買った本でした。しかし、この学生は、ニーチェの言葉にラディカルさは感じられないというのです。つまり、出版から150年を経て、ニーチェの言葉は当たり前に受け入れられるようになった。この変化を知ったらニーチェは喜ぶだろう、というのがタケさんの解説でした。

今回は、時代を超えて読み継がれてきた古典を読む面白さを、実感できた一時間半となりました。一人で取り組むのは難しい本も、みんなで読めば怖くない!学生さんには、古典に出会うきっかけとして、読書会を活用してほしいと思います。

〈関連記事〉
第7回読書会のレポート(M.サンデル『これからの正義の話をしよう』)
第6回読書会のレポート(小田中直樹『フランス 7つの謎』)
第5回読書会のレポート(辻村みよ子『代理母問題を考える』)
第4回読書会のレポート(大野更紗『困ってるひと』)
第二期読書会始動!

2014年11月12日水曜日

手話に触れる 「世界の言語と文化」より

フランス語担当の相澤伸依です。2期は、本学の語学担当者によるリレー講義「世界の言語と文化」の取りまとめ役として、各回を聴講しています。今日はその中から、「日本手話」の回をご紹介したいと思います。

本学では、2006年度より、語学科目として「手話」を提供しています。現在は初級と中級を開講し、50名あまりの学生が学んでいます。今回の授業では、中級ご担当で日本手話のネイティブ話者である谷口由美先生に、手話とはどのような言語なのかを講義いただきました。講義は、谷口先生が日本手話で話された内容を、初級ご担当の岡典栄先生と手話通訳士の瀧澤亜紀さんに日本語に訳していただく形で実施しました。

授業の冒頭、谷口先生は聴導犬と一緒に教壇に上がられ、学生に「手話はろう者のものでしょうか?」と問いかけられました。答えは、授業を通して明らかになっていきます。

授業される谷口先生。
授業中、聴導犬は教壇の下に座っていました。

まず、手話とは「手で表すことばで、目で見ることば」だと説明されました。視覚言語である手話に似たものとして身振りやベビーサインが紹介され、チンパンジーや犬のような動物や言葉を話せない赤ちゃんも、手と目を使ってコミュニケーションできることが映像で示されました。

聴こえる人が多い場所では、手話はマイノリティの言語になります。しかし、世界にはろう者だけでなく、ろう者と聴こえる人が手話でコミュニケーションを取るのが日常の場所があることも紹介されました。

「来」の動き。一本指立てた手を
前から後ろに引きます。
手話がどういうものか説明したところで、谷口先生は、実際に手を動かしてみようと呼びかけられました。「木」も「気」も「機」も音声では「き」ですが、日本手話ではそれぞれ違った仕方で表現されるのです。木は樹木が枝を広げるところをイメージさせる動き、気は心臓のあたりを示す動き、機は噛み合う歯車をイメージさせる動きでした。学生達も自ら手を動かし、目で見た様子が、目で見ることばになることを体感できたようです。

フロアからは質問も出ていました。

ただし、「何が見えるか」は人々の習慣や文化に大きく依存します。例えば、「食べる」は、日本手話では箸で食べる姿をイメージさせる動きで表しますが、アメリカ手話ではハンバーガーをほおばるような動きで表すとのこと(谷口先生はアメリカ手話も話されるそうです)。ここから、手話は世界共通ではなく、世界各地で生きる人々が、それぞれの暮らしの中で紡ぎだす言語であることがわかりました。

最後に「手話はろう者のもの?」という問いかけに対して、学生は「目が見える人々、動物すべてのもの」と答えました。それが谷口先生の講義で何よりも学んだことです。

今回の授業は、普段あまり接する機会のない手話という言語を知る、貴重な場となりました。来年度も「日本手話」初級、中級を開講しますので、興味を持った方はぜひ履修をご検討ください。

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特別授業「世界の言語と文化」のご紹介
図書館展示「世界の言語と文化を学ぶ」

2014年11月7日金曜日

2014国立国会図書館見学

国会図書館なので国会議事堂の隣にあります

「地球の科学」他担当の新正です。昨年の12月6日に引き続き、今年も国立国会図書館の見学ツアーが行われ、参加させていただきました。





案内板
午後、参加の学生、教職員9名が集まったところで、まず概要のレクチャーをいただきました。その後、本館、新館の主要箇所を巡って、利用に関するあらましを教わりました。

その後の書庫見学が、見学のハイライトと言えるでしょう。

今回はまず、地図室の書庫を見学しました。さまざまな地図資料の中から、特色のあるもの、数枚を準備してみせていただきました。まず、国土地理院5万分の1地形図の変遷を「東京東南部」図幅について比較します。海岸部分ですが埋め立てなどで、大きく地形が変化しています。

次に「外邦図」と称して、戦前日本が植民地としていた地域の地図の例として、「クサイ島兵要地誌資料図」、満州の「新京」図幅(現在の長春)を見ました。前者は極めて鮮明な地図で、戦略上の注意点が赤字で書き込んであります。さらに「路上測図」というもの。要は軍隊が仙台から山形へ行軍した際に作られたルートマップです(1880年)。きわめて精細に書き込まれています。

「北海道渡航案内図」(1906〜7)も興味深いものです。観光マップ風なのですが、本体タイトルは「移住の手引き草」。時代を感じさせます。

1910年の「東京市全図」。観光地図です。裏面には鉄道経路図の他に、芝公園、浅草公園、上野公園の案内図があり、上野動物園の動物配置、なんてのも載っています(「戦利品」などと言う表現も時代によりますね)。すなわちこれをみれば大正時代の上野動物園にどんな動物がいたかがわかる訳です。ただ、このような情報がある、ということは検索では判るものでないので、専門の司書の知識の蓄積に寄らざるを得ないということでした。

後は、石巻、宮古付近の海図(平成と明治のものの比較)、明治時代の県別に塗り分けた双六(「大日本府縣雙陸」)などを見学。興味は尽きませんが、次の書庫へ移ります。

地下30メートルで記念写真
昨年のレポートにもある、新館の書庫.地下30 mのB8Fからスタートです。階を上がって、新聞、マイクロフィルム、雑誌(比較的良く利用されるもの)と見学しました。

雑誌は独自の分類をされていて、アルファベットの大括りの分野分類の後に、登録順に数字の番号を振っているとの事です。それで、どこかの大学紀要の隣に、雑誌 『L&LLサイズのミセスの服』が並んでいる謎?が解けました。

そのほか雑誌棚では『自転車・バイク駐車場』に?が出て開いてみせていただきました。たいへん立派な業界紙でした。

再び、控室に戻っていくつか質問に答えていただいて、約2時間のツアー解散となりました。

一部の参加者は、さらに新館で行われている企画展示「あの人の直筆」も見ました。さまざまな歴史的人物の、直筆資料が展示されています。坂本龍馬の文字に人気があるそうですが、三島由紀夫のサインが美しかった。また東経大関係では大倉喜八郎の伊藤博文に宛てた書簡(1901年6月28日)が展示されていました。18日までということなので、見たい人は急げ!

ということで、長々記しましたが、要はたいへん面白かった。学生の皆さんも折角東京にいるんだから、是非利用してほしいです。

次回の図書館関係のツアーは「神田神保町散策ツアー」が11月22日(土曜日)に行われます。こちらも興味のある人は是非ご参加下さい。

関連記事 昨年12月の国立国会図書館ツアー

2014年10月31日金曜日

特別講義「歴史で知る東京経済大学」のご紹介・2〜経営学部開設50周年〜

全学共通教育センターサポーターのRです。

さて、今年2014年は、経営学部開設50周年という節目の年です(本学創立から数えると114年目。本学の創立年は1900年なので、とても覚えやすいのです)。今日は、経営学部が開設された1964年(昭和39年)の大学生活を見てみましょう。

1964年(昭和39年)というと、皆さんの親御さんの世代が生まれた頃(もしくは生まれる少し前)ですね。ご存知の通り、東京オリンピック開催や東海道新幹線の開通など、日本の社会を大きく変える出来事があった年です。高度経済成長期(1955年~1973 年)のど真ん中になります。

当時は、経済学部・経営学部・短期大学部ともに第一部(昼間部)と第二部(夜間部)があり、第一部4,709名、第二部2,786名、合計7,495名もの学生が学んでいたそうです(現在の約1.15倍)。一方、専任教員は63名、非常勤講師は82名と現在の約4割ですので、マスプロ教育(大教室での講義が多い状態)が進んでいたと考えられます。

1967年度の専門科目
1964年当時と現在の経営学部のカリキュラムを比較してみると、内容がイメージしにくい科目や、ちょっと不思議に感じる科目もあるのではないでしょうか?「賃金形態論」「労使関係論」「国民所得論」などは当時の時代背景が反映されていますね(経済学部では「貨幣論」「協同組合論」などの授業も…)。また、「事務機械論」「化学工業概論」「機械工学概論」など、科学・産業技術に深く関わる科目も見られます。一方で、大学創立当初から重視されていた実習系科目のうち、「商業実習」「貿易実務」「商業英語」などは2000年代前半まで残っていました。


1968年度のサークル
正課授業に続き、課外活動(部活・サークル)も見てみましょう。体育会はあまり変わっていないようですが、ボーリング愛好会があったり、ワンダーフォーゲル部以外に山岳部があったりするのが、昭和っぽいですね。ちなみに、「排球部」はバレーボール部、「籠球部」はバスケットボール部のことです。

一方、文化会の方は、今はなくなってしまった部が目立ちます(様々な経済・経営系研究会、弁論部、文芸部、珠算研究会、歴史科学研究同好会、将棋同好会など)。落語研究会(通称オチケン)は、部員不足により休部となっていましたが、本学卒業生の落語家・春風亭柳橋師匠(コミュニケーション学部客員教授)のサポートもあり、2010年、18年ぶりに復活を遂げました(準加盟サークルとして活動中)。

50年前の大学・短大進学率は23.4%(男子26.9%、女子19.6%)と、現在の4割程度(2014年度は56.7%)で、大学進学の機会が多くの人に開かれつつある過渡期だったと言えるでしょう。当時の大学生は、大学で勉強できるという、当時はまだそれだけで恵まれた環境にあることを噛み締めていた分、たくさん本を読み、友達と議論していたようです。

現在の大学で、思う存分、読書や議論ができる場といえば、演習(ゼミ)でしょう。東経大では、11月から2月にかけて、次年度のゼミ説明会やゼミ研究の報告会などのイベントが多数開かれます。イベントに参加して、真剣にゼミを選び、充実した大学生活を過ごしてほしいです。

【お知らせ・その1】
11/8(土)に経営学部開設50周年・経営学研究科開設30周年を記念してシンポジウムが開催されます。「少子高齢化時代における企業イノベーション」をテーマに、スーパー、食品卸売業、日用品製造・販売の大手3社のトップマネジメントから、現在の課題と今後の経営戦略およびマーケティング戦略について、抱負を語っていただきます。
学生も参加可能ですので、参加希望者はこちらのサイトをご覧ください。

【お知らせ・その2】
11月上旬から、図書館1階のブックウォールにおいて、経営学部50 周年連動企画展「東海道新幹線開業50 周年~新幹線を通して日本を見てみよう~」を開催します。歴史や時代背景を知ることで、ゼミ活動やお仕事上のアイディアが見つかるかもしれません。新幹線好き、歴史好きの皆さんはもちろん、視野を広げたい方、新しい発想を求めている方はぜひ足を運んでみてくださいね!

特別講義「歴史で知る東京経済大学」のご紹介・1〜大倉喜八郎進一層館オープン!〜

全学共通教育センターサポーターのRです。

10月18日(土)、本学の前身、大倉商業学校の創設者・大倉喜八郎の銅像除幕式と大倉喜八郎進一層館(通称:Forward Hall)の竣工式が挙行されました!

進一層館は、旧図書館を改装したもので、大学正門から入って正面の青い建物「6号館」を右手に曲がった突き当たりにあります。



学生の皆さんの資格取得を支援するCSC(キャリアサポートコース)や、学生生活を陰ながら支えてくれている父母の会・葵友会(OB会)事務局のほか、1階には「大倉喜八郎と東京経済大学のあゆみ」という展示コーナーもあります。10月25日(土)より一般公開が始まりましたので、ぜひ一度、見学してみてくださいね!

また、今年度開講している特別講義「歴史で知る東京経済大学」では、大倉喜八郎の生い立ちから東経大の現在、そして未来まで(?)、さまざまな資料をひもときながらエピソード豊かな講義が展開されています。この授業は、本学で歴史系の分野を担当する4名の教員によるオムニバス講義となっています。

10月22日(水)の授業では、高井良健一先生(教育学)より、「大倉高等商業学校への昇格と大正期の高等教育」というテーマで講義があり、当時の授業内容や課外活動の状況、実業界で活躍した卒業生の紹介が行われました。
また、「商業は広がりのある人間の活動領域であり、その学問の方法もまた多様で、総合的な性格を持っている。歴史・地理・倫理・数学・語学などの総合的な知識・能力に基づくプラグマティック(実際的・実践的)な学問であり、それを担保するカリキュラムが創立当初から用意されていた。」とのお話が印象的でした。

この「歴史で知る東京経済大学」は、2015年度より総合教育科目・教養講義科目として常設化されますので、本学の歴史に興味を持った皆さんは、ぜひ来年度、履修してみてくださいね!(就職活動で出身大学について質問された時に役立つかも…?)

最後に、「歴史で知る東京経済大学」のコーディネーターであり、史料委員として「大倉喜八郎と東京経済大学のあゆみ」の展示や発言集『大倉喜八郎かく語りき』の編纂にも携わられた戸邉秀明先生(日本史)から、学生の皆さんへのメッセージをお届けします。
東経大は大倉商業学校として創立以来、110年余りの歴史を誇る大学です。その間、多くの優秀な先輩を社会に送り出してきました。いま皆さんは、その歩みの尖端にあって、これからさらに本学の伝統を作ってゆくのです。それなのに、大事な遺産を知らないままではもったいない! この授業を通して、ぜひ本学の豊かな歴史にふれてほしいと願っています。


2014年10月27日月曜日

留学情報交換会 part.2 のご案内

留学生アドバイザーの相澤伸依です。7月に実施して好評だった留学情報交換会を、後期も開催することになりました(第一回の様子はこちら)。

このイベントでは、東経大の留学制度を利用して留学をした方と東経大に留学中の方に、留学時のエピソードや留学したい人へのアドバイスを話してもらいます。海外で学ぶことに興味がある方、経験者の話を聴いて・質問をして、疑問や不安を解消しませんか?本編の後に懇親パーティも準備しています。


日時: 11/26(水)16時20分〜17時50分、終了後、簡単な懇親パーティあり。
場所:生協テリア(学食)
*入退場自由、申し込み不要、参加費不要。どなたでも参加できます。

—プログラム(仮)—
  開会のあいさつ
1. 東経大のさまざまな留学制度の紹介(国際交流課より)
2. 留学経験のお話

〈東経大から海外へ留学した方〉
・中山さん アメリカ・ニューヨークのペース大学に1年留学
・長谷川さん イギリス・チチェスターカレッジにて3週間語学研修

〈海外から東経大に留学中の方〉
・李さん 韓国から1年留学中
・張さん 中国・山西省から1年留学中
・趙さん 中国・河南省から1年留学中

3. 質疑応答
  閉会

本編終了後、18時頃から懇親パーティを行います。本編で聞けなかったことはここで尋ねてみましょう。留学生や留学に興味のある学生同士が知り合いになる機会です!軽食を準備しています。

*おまけのご案内
葵祭期間中の10/31(金)と11/1(土)に、一号館A205教室で「国際交流カフェ」を開催します。これは、世界各国のお菓子とお茶を味わいながら、留学の情報交換をしたり留学生とおしゃべりを楽しむカフェです。ぜひ、気軽に遊びにきてください。交流チューターたちがお待ちしています。

2014年10月25日土曜日

読書会で正義について考える

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。図書部の一員として活動中です。本日開催した第七回読書会の様子をご報告します。

今回のお題本は、白熱教室で有名なマイケル・サンデル『これからの正義の話をしよう』です。土曜日の午後、図書館1階ブラウジングスペースに、この本を手にした学生五名と教員三名が集まりました。今回は、初の試みとして、学外からゲストファシリテーターをお招きし、内容についてレクチャーをしていただいたうえで、議論する形式を取りました。

今回のゲストは、現代政治哲学の研究をされていた池田誠先生です。池田先生からは同書第八章「誰が何に値するか アリストテレス」を取り上げる旨、指示されていたので、参加者はそこを熱心に読み込んで準備してきました。読書会が始まり参加者自己紹介した後、池田先生がスライドを使いながら八章の議論の背景や論点をコンパクトに説明してくださいました。

レクチャー中の池田先生
この章で著者サンデルは、「激しい運動ができないような障害のある女子高生チアリーダーをどう評価すればよいのか」という具体例を出発点として、「正義について考えるためには、議論の対象となっている物事の目的(テロス)について考えねばならない」という主張を展開します。そこで、サンデルの主張をふまえた参加者達は、チアリーディングにおける目的や大学の目的とは何かを考え、さらに大学入学試験におけるアファーマティブ・アクションの是非について議論を交わしました。

サンデルの議論は確かに難しいのですが、参加者は、池田先生のレクチャーや意見の出し合いを通して、本の内容理解を深めました。そして、正義は実は日常生活と結びついていること、正義についていろんな意見があり得ることを体感したようです。自分では気づけない視点を知ることができるのが、読書会の醍醐味ですね。

東経大 白熱教室中。
副学長の福士先生が
飛び入り参加してくださいました。
議論は文字通り「白熱」し、予定時間を多少オーバーして終了。参加者のみなさん、おつかれさまでした。

図書部では、今後も読書会や図書館見学ツアーなど様々なイベントを企画しています。図書館のサイトや、図書部のtwitterをぜひチェックしてみてください。

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