2018年2月5日月曜日

2017年度「総合教育研究」発表会レポート

 2月1日(木曜日)に、「総合教育研究」の発表会が行われました。「総合教育研究」は、全学共通教育センターが開講する卒業論文に相当するもので、2年次以降のゼミである「総合教育演習」で学んだ成果を発展させて、論文や制作にまとめあげるものです。2014年度より、全学共通教育センターの公式行事として、発表会を開催しています。今年度は、以下の5発表が行われました。
  1. 「英単語学習方略における分解法の使用:漢字学習方略が及ぼす影響に着目して」
  2. 「ニキからの『サプライズプレゼント』」
  3. 「秋元康作詞のAKB48グループの楽曲から考える現代社会」
  4. 日本人英語学習者における性差とリーディングストラテジー使用の関係」
  5. 「朝鮮学校の補助金問題と日本の民主主義の問題に関する考察〜千葉朝鮮学校への地域交流事業補助金交付取り消し問題とその歴史を題材に〜」


 総合教育演習・研究の多様性を反映して、さまざまな研究分野からの発表がなされました。個人の発表時間は、質疑応答を含めて30分でした。質疑応答時には、教員・聴衆の学生を交えて、激しい議論が行われることもあり、大いに盛り上がりました。発表終了後、発表学生をねぎらい表彰が行われ、コーヒーとお菓子を楽しみながら、議論を続けるなどして個別にさまざまな振り返りがなされました。

 発表された学生さんは本当にお疲れ様でした。またご聴講いただいた学生さん、先生方に厚く御礼申し上げます。「自然の構造」他担当の榎が記しました。

・関連記事へのリンク
 2016年度「総合教育研究」発表会レポート (2017年2月2日)
 2015年度「総合教育研究」発表会レポート (2016年2月3日)
 2014年度「総合教育研究」発表会レポート (2015年2月2日) 
 2017年度「総合教育演習」ゼミ報告会を行いました (2017年12月9日)

2018年1月22日月曜日

【学問のミカタ】音声の世界をのぞいてみると

 英語、総合教育演習を担当している対馬輝昭です。音声学、特に、英語音声を知覚、発音する能力の習得過程を研究しています。音とは儚いもので、なにかに記録しなければすぐに消えてしまいます。エジソンの蓄音機が音の再生に成功したのが1877年、その後レコード、テープ、CD、MDと続き、最近ではICレコーダー、PCMレコーダーと、録音・再生技術は目覚ましい発展を遂げてきました。しかし、人間の声(音声)の特徴をどのように視覚化し、さらに分析すればいいのでしょう。今回は、そんな音声の世界を少しだけのぞいていただければと思います。

 音声の視覚化、分析の例として、英語学習者が発音した音声をみてみましょう。映像1は、母国語話者が発音した、”recognize”という単語を視覚化したもので、話者が発音テスト用の文章を読み、その中の一語を切りとったものです。映像2・3は、英語学習者が同じテキストを読んだものの一部です。学習者は大学1年生で、映像2は入学直後の4月に、映像3は半年後の11月に録音したものです。入学後の約半年間、授業内外で発音・英会話の学習をしました。まず、再生ボタンでそれぞれの音声を聞いてみて下さい。映像2(学習前)では「レコグナイズ」という平坦なカタカナ読みに聞こえますが、映像3(学習後)ではかなり母国語話者の発音に近づいたのがわかります。


映像1(母国語話者)

映像2(学習前)

映像3(学習後)

  では、視覚化したものの説明をしましょう。上側が音声の波形で、左から1つめのかたまりが”re”にあたります。下側がスペクトログラムと呼ばれるもので、縦軸が周波数、横軸が時間、色の濃さが、エネルギーの強さです。赤点は、周波数帯のエネルギーが強いところを結んだもので、フォルマントといいます(一番下を「第1フォルマント」、その上から順番に、「第2、第3フォルマント」と呼びます)。ネイティブ話者の母音、/aɪ/に注目してみましょう。/a/では第1、第2フォルマントがくっついていますが、/ɪ/に移るにしたがって離れていくのがわかります。このように、母音はこの2つのフォルマントの位置関係で区別されます。子音(/t/, /r/, /s/など)にもそれぞれ特徴があり、スペクトログラム上で確認することができます。

 このような知識をもとにして学習者の音声を分析すれば、どれだけ正確に英語音声を発音できているのかを、聞いた印象だけでなくデータとして示すことが出来ます。日本人学習者にとって習得が難しいことで知られる/r/に注目してみましょう。/re/の部分のフォルマントの動きに注目すると、映像2(学習前)は、第2、第3フォルマントが上から下へと動いていますが、映像3(学習後)では、逆に下から上へと動いています。実は、/r/の発音には第3フォルマントの値が重要なのですが、学習前では、約3200 Hz(ヘルツ)だったのが、学習後では2100 Hzになっており、ネイティブ話者の約2000 Hzにかなり近づいています(スペクトログラム左端の値を参照して下さい)。このようなデータから、学習者が/r/をより正確に発音できるようになったことを、客観的に示すことができるのです。

 ひと昔前までは、高額な音声分析ソフトウエアがないとこのような分析ができませんでした。しかし今では、Praatというフリーソフトが世界的に使われており、学生や一般のひとでも音声の視覚化、さらに分析を行うことができるようになりました。自分の発音を「見てみたい」ひとは是非お試し下さい。今回の記事で、少しでも音声の世界に興味を持っていただけたら幸いです。

1月の【学問のミカタ】
・経済学部ブログ「科学における理論・モデル・エビデンス-経済学の「エビデンス」とは
・経営学部ブログ「研究をするとなぜ創造的な思考が身につくのか?
・コミュニケーション学部ブログ「今を、少し遠くから眺めてみよう:自己採点中のあなたへ
・現代法学部ブログ「『犯罪』のイメージ ~平成29年度版犯罪白書より~

2017年12月27日水曜日

TKUサイエンスカフェ「時間とはなんだろう」

 自然の構造ほか担当の榎です。12月19日(火)に学習センターにて、今年度2回目となるTKUサイエンスカフェが開かれました。講師は慶応大学の松浦壮さんで、「時間とはなんだろう」というタイトルでお話しされました。今回の参加者数は、40名近くにのぼりました。なお、松浦さんは、2013年度のTKUサイエンスカフェでも講演して下さっています。

 講師の松浦さんは、素粒子論を専門とする理論物理学者です。「時間」については、様々な立場から論じることができますが、今回、松浦さんには、物理学の立場から見た「時間」について語ってもらいました。


 私たちが時間をどのようにして実感するのかをよく考えてみると、物体の運動を通してである、ということにたどり着きます。物体の運動は、自然の法則である運動の法則に支配されています。私たちの身の回りの物体の運動は、17世紀に明らかになったュートンの運動の法則で説明することができます。そのため、私たちが素朴に持つ時間の感覚は、ニュートンの運動の法則に基づくものといえます。しかし、物理学が発展するに従って、ニュートンの法則では説明できない現象が明らかになってきました。それは、「光」についての現象です。20世紀に入ると、アインシュタインにより、光の現象も含めて説明できる運動の法則である相対性理論が構築されました。ニュートンの法則では、時間と空間はそれぞれ別の独立したものとされましたが、相対性理論では時間と空間は不可分で一体のものとして考えます。さらに、20世紀には、素粒子のような物質の根源にかかわるミクロな領域での運動の法則である量子論が構築されました。この量子論と相対性理論を基にすると、物質や力も、時間や空間の特性のひとつと理解できます。そして、このお話は、時間・空間・物質・力の全てが同じルーツを持つと考える『量子重力』へと繋がっていくのです。このように、物理学が発展するにしたがって、「時間」の概念は変わり、より本質が明らかになっていきます。

 今回のサイエンスカフェでは、以上の物理学から見た時間についての概念の変遷と、時間と空間を一体として考える相対性理論とはどのようなもなのかについて、熱く語られました。「時間」については誰もが実感できるけど、実態を考えるとよく分からないものであるためか、講演の途中でも質疑応答がなされ、カフェ終了後も、何名かの学生さんが残って講師の松浦さんに疑問をぶつけていました。

 なお、このほど、松浦さんは「時間とはなんだろう 最新の物理学で探る『時』の正体」(講談社ブルーバックス)という本を出版されました。サイエンスカフェで語られたことは、この本に詳しく書かれています。今回のサイエンスカフェに合わせて、松浦さんの著作と、哲学、数学、地球科学、天文学、物理学といった様々な学問領域から見た「時間」についての本を選んで、本学図書館にて、展示しています。ぜひ、ご覧になって、「時間」について様々な思考を巡らせてみて下さい。

(参考)これまでのTKUサイエンスカフェのレポート
 2013年度第1回「この夏、天の川銀河の超巨大ブラックホールに接近するガス雲の運命
 2013年度第2回「宇宙は何からできている?
 2014年度第1回「折り紙の数学
 2014年度第2回「ブラックホールの謎に迫る!
 2015年度第1回「コンテンツの生まれかたと受けとりかた
 2015年度第2回「豚インフルエンザについて
 2016年度第1回「ブラックホール、ビッグバン、そして次元 ~人に話したくなる宇宙のおはなし~
 2016年度第2回「コスモスを秋桜と書く理由、秋桜が春に咲く理由
 2017年度第1回「映像世界と身体感覚

2017年12月20日水曜日

英語プレゼンテーションコンテスト2017

フランス語と倫理学担当の相澤伸依です。12/16(土)に、進一層ホールで英語プレゼンテーションコンテストが行われ、私も審査員として参加しました。総勢11組、のべ20人が参加したコンテストの様子を紹介します。

 このプレゼンテーションコンテストは、昨年まで行われていた英語スピーチコンテストを一新したもので、今年が初めての試みになります。個人でもグループでも参加可能。10分という制限時間内で、根拠を示しながらいかに説得力をもってメッセージを伝えられるかを競い合います。

発表内容は参加者に委ねられています。今回は、海外での体験から学んだことをつたえるもの、自分の試行錯誤の経験をふまえて英語学習のコツを伝えるもの、あるいは社会問題提起など、多岐にわたりました。
多くの聴衆が集まりました。

英語のプレゼンテーションのコンテストですので、審査は内容だけでなく、 英語の正確さや聴き取りやすさ、ビジュアル、身体の使い方などを、ピーター・ロス先生と私が総合して判断しました。どの参加者も、英語を訓練しているだけでなく、スライドでわかりやすくつたえる工夫をしていました。また、グループならではの凝った演出を試みた参加者もおり、あっというまの2時間でした。

表彰の様子。
全体を通して私が感じたのは、伝えたいメッセージを持つことはとても大事だという点です。「あなたは他人に何か伝えたいことがありますか?それは何ですか?」といきなり問われても、きっと多くの人がとまどうでしょう。今回の参加者たちは、それぞれが、聴衆に伝えたい、わかってほしいというメッセージを明確に持っていました。だからこそ、どのプレゼンテーションも、テクニックの競い合いにとどまらず、聴き手に訴えかけるものになっていたと思います。

こんなサンタの姿も...
コンテスト後は、参加者の表彰も兼ねて、国際交流チューター主催のクリスマスパーティが行われました。互いのがんばりをねぎらい合い、友好を深める機会となりました。

気の早い話ですが、英語プレゼンテーションコンテストは来年度も開催予定です。ぜひ日頃の英語学習の成果を試す機会として目標にしてほしいと思います。

2017年12月18日月曜日

2017年度総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました

 「外国史」ほか担当の高津です。12月9日(土)の午後に全学共通教育センターが開講する「総合教育演習」のゼミ報告 会が行われました。2012年に始まって以来、今年で6回目となるゼミ報告会ですが、全 学共通教育センターの「年末の恒例行事」としてすっかり定着したようです。今回は12 のゼミが参加し、2教室に分かれて発表が行われました。


発表の様子

 報告者の皆さんにとって、ゼミ報告会は1年間のゼミでの活動を披露し、自分の成長を実感できる大事な機会ですよね。普段は顔を合わせない学生や教員の前で自分の研究成果を報告し、相手からの質問に対して受け答えをする・・・・これが中々難しい。頭が真っ白になってうまく話せなかった、質問に何て答えて良いか分からなかった・・・などなど、後で反省したり、悔むこともあるかもしれません。しかし、終わった後の解放感や充実感も―頑張った人ほど―大きいでしょう。報告会後の懇親会で仲間と食べるピザとお寿司は、きっといつもよりも美味しかったはずです。是非この経験を、失敗も含めて、 忘れないで下さい。

報告会終了後の懇親会

 今回、いくつかのゼミの OB・OGの方々も会場にお越し下さり、後輩たちを応援していました。今後も母校を訪れて 旧交を温める機会として欲しいです。私もこの日は高津ゼミのゼミ生、そしてゼミのOBたちと美味しい食事を楽しみましたよ。 食事を別にしても、私にとってこの報告会は、自分の専門とする西洋史学以外の研究成果を知ることのできる得難い機会です。残念ながら全ての報告を聞くことはできませ んでしたが、今回は榎ゼミの天文学、上野ゼミの日本文学、戸邉ゼミの日本史学、中川ゼミの英語教育、新正ゼミの岩石学・地質学に関する研究成果やゼミ活動の報告を、興味深くうかがいました。

 学生にも卒業生にも教員にも楽しく有意義なゼミ報告会―、来年も今年以上に盛り上がることを期待しています。そのためにも、ゼミ生の皆さん!毎回のゼミの活動を、教員と仲間との時間を、大切にして下さい。

・関連記事へのリンク
2017年度 「総合教育演習」ゼミ報告会のご案内
2016年度 総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました
2015年度 全学共通教育センター ゼミ報告会が行われました
2014年度 全学共通教育センター ゼミ報告会レポート

2017年12月1日金曜日

2017年度「総合教育演習」ゼミ報告会のご案内

 来る12月9日(土)の13:30より、1号館3階A309、A310教室にて、「総合教育演習」ゼミ報告会を開催します。「総合教育演習」は、全学共通教育センターが開講している教養を学ぶためのゼミで、人文学、社会科学、自然科学の幅広いテーマを対象とする個性豊かなゼミがそろっています今年度のゼミ報告会には14ゼミが参加、23ユニットの発表が予定されています。


 このゼミ報告会は、本学在学生はもちろんのこと、在学生の保護者や、高校の先生・生徒・保護者の方々にも公開しています。申し込み不要、出入り自由です。当日は、経済学部のゼミ研究報告会(6号館3階)と経営学部のゼミ研究報告会(1号館3,4階)も行われます。これらの会場にも自由に出入りして参観することもできます。

 ゼミ選び中の在学生の方、大学での学びに興味のある方、多くのご来場をお待ちしています。


(参考)昨年度のゼミ報告会の様子
2016年度総合教育演習「ゼミ報告会」を行いました

2017年11月23日木曜日

【学問のミカタ】歴史をつくる   

 こんにちは。「英語コミュニケーション」ほか英語の授業を担当している田中景です。これまでアメリカ合衆国の歴史、特に移民史を研究してきました。ですので、ここでは一般にアメリカ人にとって歴史とは何であるかを示すエピソードを紹介します。

 今月のはじめに親友のエレナとマイケル夫妻に会いにニューヨークを訪れた時のことです。スペインバルで夕食をしながら懐かしい思い出やお互いの近況を語り合い、やがて共通の知人のサンドラの話になりました。サンドラはアメリカ南部の都市ニューオリンズの出身で、その町に19世紀の南北戦争で黒人奴隷制度を擁護する南部連合軍を指揮して連邦政府軍と戦ったリー将軍の銅像が建てられていたのが最近撤去され、そのことをサンドラはひどく悲しんでいるというのです。

 周知の通り、南北戦争で南部連合軍は敗退し、黒人奴隷は解放されましたが、その後も南部ではリー将軍は南部州の自治を守るために尽くした人物として多くの住民から慕われ、各地で彼の銅像が建てられてきました。ところが、近年、特に南部地域において白人住民による黒人住民への暴行などの事件が増え、最近ではそのような人種差別をなくそうという動きから南部各地でリー将軍の銅像が次々と撤去されています。

 歴史上の人物の銅像を取り壊すなんて、大袈裟な―いいえ、そうではありません。アメリカ人の多くが南部連合軍の将軍の銅像を今なお奴隷制度に賛成し人種差別を容認する社会の象徴として見なし、黒人住民の心情を考えれば当然撤去されるべきだと考えているのです。そしてまた他方で銅像の撤去を南部の伝統と制度が壊されることに他ならないとして悔しさや悲しさを募らせている住民も多くいます―サンドラのように。いずれにしてもアメリカ人にとって歴史とは過ぎ去った出来事や知識ではないのです。

 「独立宣言に書かれた『すべての人間は生命、自由、幸福を追求する権利がある』というのは、当初は有産階層の白人男性に限定されていた。それが南北戦争や20世紀初頭の女性参政権運動、60年代の公民権運動を経て今では性別や人種に関係なくすべての市民の権利になった。サンドラは歴史に逆行している。」そう語るマイケルの言葉から、アメリカ人にとって歴史とは市民が一つになり未来に向けて理念を実践し、作っていくもの、という見方が伝わってきました。

11月の【学問のミカタ】
・経済学部ブログ「日本の大学生は多すぎる!?
・経営学部ブログ「考・学問のすゝめ
・コミュニケーション学部ブログ「履歴書に書けないキャリアのお話
・現代法学部ブログ「『できる』と思うか、『できない』と思うか?~障害者雇用政策のあり方~